宅建に関する記事を「宅建の合格体験記」としてまとめました。
試験は誰しも失敗なく1回で合格したいものです。
私も1発合格するために受験しようと考えた時には、いろいろな方の勉強法を参考にしました。
それでもやってみなければ分からないことが出てくるものです。
失敗もしました。
そうした経験が少しでも皆さんの参考になればと思い、書いてみました。
受験を決心するまで
(1)資格を取ろう
定年まで2年を切った頃《2017(平成29)年》、第2の人生をどう過ごそうかと時々、考えるようになりました。
これまでずっと教員しかやってこなかったので、何かこれまでとは違うことをやってみたいと漠然と考えていました。
そんな時、インターネットで『資格マニア 鈴木秀明のシカクロード』というHPが目にとまりました。
鈴木さんは大学を卒業してから300種以上450個を超える様々な資格を取得し、その内容も「ゴジラ検定」から「気象予報士」まで多岐に渡っており、ただただ驚きました。
私が地方の大学を卒業した40年前には、身近にパソコンを見たこともなく、ましてインターネットなど影も形もなかった時代でした。
やっとコピー機が普及し始めたころだったと思います。
試験の前にはよく友達のノートをコピーさせてもらったものです。
ですので、いろんな資格をとってそれをネットに公表することで生活していくことができるなど予想もできない時代でした。
このHPを見て自分も何か資格にチャレンジしてみようかと思うようになりました。
(2)宅建試験を受けることに
資格って本当にたくさんありますね。
何を取得すれば有効なのか、なにより合格するためにどれだけ学習すればよいのか、せっかく受験勉強をしても合格しなければ何にもならないのではないか、などなどいろいろ考えてしまい、なかなか学習のスタートがきれない状況がしばらく続いていました。
何かの資格を取りたいと思っていた皆さんは、たぶん同じような思いを体験されているのではないでしょうか。
いろいろ調べていくなかで、法律系の入門資格として約20万人の方々が受験する宅地建物取引士を受験しようと思うようになりました。
資格関係のネット記事を見ても、まずは宅建というようなものが多かったことや国家資格であるということが決め手でした。
決心するまで結構、時間がかかってしまったものです。
さて、右も左も分からない初学者がどのように効率よく学んでいくか。
どのように進めていくかということに悩んでしまいました。
仕事もあるので時間も限られているし、年齢(当時は58歳)的にも無理はできないし、あれこれ考えて時が過ぎていくばかりでした。
最初の一歩を踏み出す勇気というか思い切りがありませんでした。
そんな時、あるTV番組でおばあさんが億単位の商売をなされていることが紹介されていました。
なんとこのおばあさんは80歳を超えて宅建試験に挑戦して合格し、ご商売を一人で始めたということでした。
年をとっても挑戦するその姿に感銘を受けたものです。
考えてばかりで何の行動にも移していない自分が恥ずかしくなり、やっと行動する決断をすることができました。
1回目の受験
(3)宅建勉強
行動あるのみ、ということで早速、近くの本屋さんへ行きました。
たくさんのテキストがあちこちの出版社から出されており、ここでもどれを買えばよいのか、またまた悩んでしまいました。
つくづく自分の優柔不断な性格が嫌になったものです。
しかし、後で思い返してみると、いかに楽して簡単に合格できるかを優先しており、そのためのテキストを求めていたように思います。
合格した今となっては、結局、しっかり学習しておかなければならず、どのテキストを使用しても同じだと考えています。
この時、購入したのは「うかる!宅建士速攻テキスト」(日本経済新聞出版社)でした。
よく、仕事をしながら合格するためには、独学で出来るか、通信教育を受けた方がいいのか、といったことをネットで見受けます。
どちらにも一長一短があるのですが、私は独学で十分だと思います。
ここで言う独学とは自分でテキストを買い、それらを読み進めながら理解して、合格できるまでの実力をつけることです。
最初は、誰かに教えてもらう方が効率的で安心なように見えますが、案外、自分で出来るものです。
どのテキストも初学者に分かりやすいようにうまく書かれていますので、素直に読み進めていけばきちんと理解できます。
(4)受験勉強(その1)
私は、2回目の試験で合格しました。
1回目の試験は34点で残念ながら不合格でした。
この時は合格点が35点でしたので、本当に悔しい思いを味わいました。
なぜダメだったのか、自分なりに分析してみました。
1つめは、真剣さが足らなかったことです。
試験を受けるなんてことは、もう何十年も無かったことですし、仕事も忙しく、初めての試験だったし・・・だめでも仕方がないという言い訳をいっぱい考えていました。
どうしても合格しなければならないという切迫した事情があるわけでもなく、合格すればラッキーぐらいにしか思っていませんでした。
こんなことなので、結果が不合格なのは当然ですよね。
試験に臨む姿勢がなってなかったと反省しました。
2つめは、学習の仕方が間違っていたことです。
4月から学び始めたのですが、テキストを十分に理解してから問題を解いていこうと思い、560Pあるテキストを読みながらノートにまとめていきました。
新しい分野を学ぶときは当然の学習法ですが、私はこれを3回もしてしまいました。
3回目が終わった時には、もう7月になってしまっていたのです。
テキストを1回どおり学んで、あとは問題演習をしながらテキストの知識を定着していくべきだったのです。
いくらテキストの内容を学んでもその知識は頭の中に残っていかないものです。
問題を解きながら知識を確実なものとして身につけるという、資格試験に合格するための勉強方法が分かっていませんでした。
(5)受験勉強(その2)
7月から1問1答の問題演習をはじめました。
知識が定着していないので初めはまったく分からずじまいです。
テキストを3回も繰り返してまとめていったので、少しはできるかと思っていたのですが、さっぱりでした。
それでも8月中に何回か繰り返してはいました。
何回か繰り返しても出来ない問題は出来ないものです。
出来ないとやる気も無くなり問題を解く気も失せてしまいます。
1問1答を繰り返すのはしんどいですね。
8月後半から4択の過去問を中心とした実践的な問題を解いていったのですが、問題としては、こちらの方が解きやすいと思いました。
肢が4つあると比較することで正解を導きだすことができます。
分からない肢があっても、他の肢の正誤から答えを探り出すことができるので、わたしは1問1答よりもやりやすいと感じました。
もっと早くから4択問題に取り組んでおけば良かった。
結局、試験が10月なので時間的な余裕もなく、問題も十分に解くこともできず、本番の試験を受けることとなりました。
(6)初めての試験
初めての試験は緊張していたのか、試験に遅れてはいけないと考え2時間も前についてしまいました。
車で行ったので、そのまま駐車場で時間をつぶしていました。
雨が降っていて寒い日でした。
もちろん車の中でもテキストをよんでいました。
1時間も前に、試験会場に入り指定の机に座りました。
やっぱり待つ時間が長く感じました。
しかし、いざ試験が始まるとあっという間の2時間でした。
問題用紙の肢ごとに○✕を付けながら、解答用紙にマークをしていきます。
実は私が大学を受験した2年後に共通1次試験が始まっているので、これが人生で初めてのマークシートのテストです。
独学でやっていたので模擬試験も受けていません。
初めて鉛筆でマークをしたので、うまく機械が読み取ってくれるだろうかと不安を覚えました。
何とか時間内にすべて解答をすることができましたが、出来たという手応えはまったくなかったので、すごすごと家路につきました。
その日の内に解答速報があちこちで出ていたのですが見る気がせず、何日かして自己採点をしてみると予想外に得点できており34点でした。
(7)不合格
案外、点が取れていて70%前後が合格ラインということでしたので、ちょっと期待をしてしまいました。
ネットを見ても今年の合格ラインは34~36点と出ていたので、淡い期待を持って合格発表の日を待っていたものです。
それにしても試験の日から合格発表の日までの長いこと、長いこと。
マークシートの試験なのだから採点などは、すぐに終わると思うのですが、なんであんなに日時がかかるのでしょうか。
初めて資格試験を受験したので、特にそのように思ってしまいました。
結果は、残念ながら不合格でした。
不合格の場合、何にも通知が来ないし不合格の通知も何もない。
それが余計に悔しさを倍増させてくれました。
今回の経験で分かったことは、とにかく過去問を繰り返しやっていかなければならないということでした。
テキストを3回繰り返すよりも、過去問を解きながら、分からない所はテキストの該当箇所を復習して知識を定着する、といった学習の仕方が大切であることを思い知らされました。
大変な道草をしましたが資格試験に向けての学習方法をやっと身に付けることができました。
2回目の受験
(8)2回目の宅建試験に向けて
過去問を繰り返す学習方法の大切が分かったことで、あとはその方針に沿って実践あるのみでした。
早速、本屋に行って「スッキリとける宅建士過去問コンプリート」(TAC出版)を買いました。
過去10年分の問題が①宅建業法②法令上の制限③権利関係④その他関連知識⑤最新本試験問題の5分野に分けられており、それぞれが1冊に分冊できるようになっていました。
とにかく、これを繰り返して解いていきました。
最終的には10回以上やったと思います。
何度も繰り返すと、宅建業法は問題がパターン化しており、分量も少ないので理解が深まっていきました。
ただ権利関係(民法)の分野は範囲も広く内容も深いもので表面的な理解に留まったままでした。
2年目も仕事をしながらの受験勉強であり日々の雑用もあったりと、なかなか集中しての学習はできていなかったと思います。
本格的にエンジンをかけ始めたのは、やはり4月のころでした。
1回目の受験結果がまずまずでしたので、今年は何とかなるだろうという根拠のない自信がありました。
(9)2回目の受験勉強
過去問ばかりするのもどうかなと考え、8月には「本試験をあてるTAC直前予想宅建士 予想問題3回分」(TAC出版)を購入して解いてみました。
これが難しくて出来が良くなかった。
あくまでも予想される問題なので得点は気にしなくても構わないとのことでしたが、今の自分の実力がまだまだであることを思い知らされました。
本番まであと1月半ほどしかありません。
あせりました。
2回目の試験まであと1ヶ月となった9月には、ひたすら直前模試の問題や過去問を繰り返しました。
もう新しいことをやっている時間もないので、これでいいと信じて解いていたように思います。
権利関係(民法)は、この時点で深堀りすることはできないので、宅建業法や都市計画法・建築基準法などの法令上の制限の分野に重点をおきました。
昨年と違ったのは「その他関連知識」について対策したことです。
宅建業に従事していれば問46~50の5問は免除されるのですが、私の場合はこれに該当しないので、ここで失点するわけにはいきません。
統計的な問題があるので、やはりきちんと対策するべきだと考え、ネットに公開されていた伊藤塾の過去問題をコピーし、繰り返し解くようにしました。
この伊藤塾の過去問は、やっておいて良かったと思いました。
(10)試験本番
10月の試験本番は1回目よりは少し余裕を持って臨めました。
しかし、試験が始まってしまえば我を忘れて問題に取り組み、最後の1問まで全力で考え抜き、とても疲れました。
ひとつの悩ましい問題の解答ができなくて、どっちかな?と終了間際まで悩んでいたものです。
出来たのか、出来なかったのか、試験直後は自分でもよく分かりません。
家に帰って解答速報を検索すると、早速、TACとLECの予想解答が出ており、自己採点をした結果42点でした。
2018(平成30)年度の試験は簡単だったらしくて、合格点は例年を上回るだろうという宅建講師の方々の講評でした。(平成30年度の合格点は37点)
おそらくこの得点なら大丈夫だと安堵したものです。
でも、やっぱり権利関係(民法)は出来ておらず、4問、間違えてしまっていました。
宅建試験については、「権利関係」よりも「宅建業法」や「法令上の制限」の分野に関する問題を取りこぼさないよう、対策を立てて学習に取り組んだ方が良いというアドバイスが多かったと思いますが、その通りでした。
合格
(11)合格後
さて、合格するとこの後、「何を目指して勉強しようか?」と考えるようになりました。
資格関係のネットを見て、種類や難易度を見て、次に目指す方向をあれこれ探っていきました。
不動産系のマンション管理士・管理業務主任とか土地家屋調査士受験のための測量士補とかフィナンシャルプランナーとか、いろいろと考えあぐねていました。
そうこうするうちに12月に合格証書が送られてきたので、私の宅建受験も終了しました。
宅地建物取引士として業務に従事しようとする場合、都道府県で資格登録を受け、かつ、知事が発行する宅地建物取引士証の交付を受けなければなりません。
せっかく試験に合格したので宅建士証を取得しようと思い、準備を始めました。
実務経験が2年以上あれば資格登録申請ができるのですが、私には実務経験がないので登録実務講習を受講し終了しなければなりません。
そこで、ネットで調べ(株)日建学院の講座に申し込みをして2月中旬の土・日に受講することになりました。
(12)登録実務講習の受講
2日間にわたり、朝から夕方までみっちりと講習がありました。
DVDを視聴した後に解説があるという形で、こんなにも内容の濃いものとは思っていなかったので驚きました。
テキストは「不動産を見る目を養う 不動産実務総論」全375ページで副教材として別冊がありました。
テキストには、次のようなことがあります。
序 章 不動産の本当の“常識”
第1編 行政法規編 ~不動産を見る目を養う~
第1章 宅地建物取引業法
第2章 都市計画法を中心にした法規制
第3章 建築基準法を中心にした法規制
第4章 その他の行政法規
第2編 取引実務編 ~不動産売買のポイントを知る~
第1章 受付業務
第2章 不動産の調査
第3章 価格査定
第4章 媒介契約
第5章 広告
第6章 条件交渉
第7章 資金計画
第8章 重要事項説明
第9章 売買契約書
第10章 履行
第11章 紛争防止
第12章 税務
以上のような内容のDVDを視聴した後に、解説するという形の講義で進みます。
2日目の最後に内容理解のテストがあり、これに合格すれば終了ということでした。
ダメな人はほとんどいないということは聞いていたのですが、テストですので真剣に解答をしていました。
3週間ほどしてから、(株)日建学院より講習修了証が送られてきたことで無事に登録実務講習を終了することができました。
(13)宅建士証の交付
いよいよ都道府県への登録申請の手続きですが、これまた多くの書類などが必要です。
①登録申請書
②誓約書
③身分証明書(本籍地の市区町村が発行する成年後見人及び被保佐人とみ なされる者でないこと並びに破産者でないことの証明)
④登記されていないことの証明書(東京法務局が発行する成年被後見人及び被保佐人でないことを証する証明書)
⑤住民票抄本
⑥合格証書の写し
⑦顔写真
⑧登録資格を証する書面(私の場合は登録実務講習修了証)
⑨印鑑
役場へ行って③身分証明書と⑤住民票抄本をもらい、法務局へ行って④登記されていないことの証明証をもらい、やっと書類を整えて県庁へ申請に行くことができました。
37,000円分の証紙を買って登録手数料も支払います。
登録申請後、1ヶ月半程度で手続き完了の通知書が自宅に送られてきました。
この通知を持って、今度は宅地建物取引業協会へ行き、宅建士証の交付申請をした上で、やっとのことで念願の宅建士証を手にすることができました。
まとめ
宅建試験を受けようと思ってから、約1年半かかって何とか合格することが出来ました。
この間、宅建勉強を通して民法とか建築基準法とか、さまざまな法について学ぶことが出来ました。
試験勉強をしなければ一生、知らずに終わったことでしょう。
学んで知ったから、それでどうしたの?資格を取っただけ?と言われたりします。
自分にとっては知識が増えて、自己満足かもしれませんが良かったということです。
ただ、それだけなのですが、そういったことが大切なのではないでしょうか。
出来たら、この資格を生かしたいとは思っています。
今は、何かに向かってチャレンジしてみることの大切さをひしひしと感じています。
合格したからそう思うというだけでなく、やはり何か学ぶということは、人にとって重要なことなんだと気づかせてくれたような気がします。
お金も手間も結構かかりましたが、私にとっては良い経験になりました。