定年後の生活ブログ

定年後の徒然なる事柄の記録

食肉処理場の見学と農業高校で成長する生徒の物語「銀の匙」(その1)

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はじめに 

 

「銀の匙」(荒川弘)は農業高校御用達の漫画です。

農業とは縁もゆかりもない都会育ちの主人公、八軒勇吾が農業高校に入学してからの成長の様子を描いています。

農業高校がどのような所かを知るにはうってつけの漫画だと思います。

 

第1巻・・・大蝦夷農業高校に入学

 

主人公の八軒勇吾は大蝦夷農業高校に入学した早々に、大きなカルチャーショックを受けます。その中で、自分の生き方について考えさせられる出来事が次々に起こってきます。

寮での生活、実習の様子、部活動など農業高校の実態に即した物語です。

農業高校では実習を大切にしています。頭だけでなく体を使って学ぶことが大切だからです。早速、八軒も実習を始めたようです。

鶏の当番実習では、卵がおしりから生まれてくることにショックを受けています。

豚の実習ではかわいい子ブタに名前を付けない理由とか子豚の去勢実習に驚いています。

また、クラスメートと一緒に行ったばんえい競馬でも、役に立たなくなった経済動物はすぐに食肉にされるという事実を知ります。

仲良くなった友達のそれぞれの家庭の事情も少しずつ明らかになってきました。

ゴールデンウィーク明けごろまでの、農業高校の様子がよく描かれていると思います。

 

第2巻・・・初めての夏休み

 

ゴミ捨て場で壊れたピザ窯を見つけました。

ピザが焼けるかもと八軒が言った一言で、みんなのためにピザを焼くことになります。

そこは農業高校なので、すべての食材が自分の高校で調達できました。

ピザを目当てに先生、先輩、同級生を巻き込んで、ピザ大会が開かれます。

本当に美味しいピザが出来上がり、笑っちゃうほどの美味しさでした。やり切った八軒が何かをつかんだようです。

 

夏休みが近づいたころ、家に帰りたくない八軒はクラスメートの御影アキの家で酪農の手伝いアルバイトをすることとなりました。

何とそこで、ひょんなことから鹿の解体をすることになり、おじいさんの指導でついに成し遂げました。

御影の家の近所には同じクラスの野球部の駒場の家があります。

彼の父親はオーバーワークで亡くなり、母親が一人で小規模な酪農を営みながら生活しています。

母親を野球で成功して助けることを目標に頑張っている駒場との違いに、将来の目標のない八軒はさまざまな思いをめぐらします。

稲田多摩子の家にも遊びに行きました。そこは何百ヘクタールという大規模で近代的なファームで、御影や駒場の農場との違いに唖然とします。

 

食料を生産している農業高校の様子がよく分かるとともに、酪農の実態の違いや後継ぎ問題、命を頂いて食することについてなど農業のありようについて考えさせられる内容でした。

 

第3巻・・・ 夏休みのアルバイト

八軒がアルバイトをしている最中に兄が訪ねてきます。

ここであっけらかんと衝撃の告白「東大に入ったけど、うまいラーメン屋に出会って弟子になったので、辞めた。」

今はうまいラーメンの食材を求めて北海道を旅行中です。

早速、ラーメンを作ってみんなに振る舞ったのですが、これが不味いこと不味いこと。何とも破天荒なお兄さんでした。

バイト中に八軒のミスでせっかく絞った生乳を大量に無駄にしてしまい、大きな損害を出してしまいます。

バイト代の辞退を申し出るのですが、正当な労働の対価だとして支払ってくれました。八軒はこのバイト代を何に使うのでしょうか。

 

夏休みが終わって、2学期が始まりました。

「豚丼」と名前を付けた赤ちゃん豚は驚くほど成長しています。成長しているということは出荷が近づいているということです。

八軒は「殺して食べること」を考えて悩んでいます。出荷すれば1頭、約3万円です。

悩んだ末に、処理された「豚丼」の肉をバイト代で買い取ることになりました。1頭分の豚肉をどうするのでしょうか?

そのことを聞いた先生は、生徒たちの希望者に屠畜のビデオを見せます。

 

牛の食肉処理場を見学させてもらったことがあります

私も生徒たちと一緒に、実際に食肉処理場で牛の解体現場を見学させてもらったことがあります。

まさに命を頂いている現場です。

生産者として、飼育している家畜がどのように解体処理されているかを知ることはとても重要です。

残念ながらこうした食肉の解体に関しては、偏見があるのではないでしょうか。そのような偏見を無くすためにも食肉解体の実際を見てもらいたいと一般公開している処理場で見学させてもらいました。

まず処理場の畜魂碑に持って行った花を手向け、お参りしてから場内に案内してもらいます。

2階の見学場所から内部を一望でき、屠畜から解体までの一連の流れを見学できるようになっていました。

作業は極めて効率的に、何よりも衛生的に分担して行われています。

最後に我々がよく見る枝肉になってセリにかけられることになります。

 

印象に残ったことは、作業をされている方々の手際の良さと、衛生に対する意識の高さでした。

たくさんの獣医さんがいて、これでもかというぐらい繰り返して検査をしています。

食肉処理に関わっている方々は、美味しいだけでなく、安心で安全なお肉を消費者に届けるためのプロフェッショナルなお仕事をされていると感じました。

 

家畜を屠ることに目をつむって、美味しいといって食べるだけでなく、このような食肉処理の実際を正しく知ることは大切なことだと思います。