縁起
箸蔵寺は弘法大師空海が開いたとされています。
弘法大師が箸蔵山の不思議な瑞気(ずいき)に導かれて山を登ってみると、金毘羅大権現に出会い神託を受けました。
「箸を挙(あ)ぐる者、我誓ってこれを救わん」というものです。「箸を挙ぐる者」というのは、ご飯を食べるときにはすべての人が箸を使っているということで、すべての人をみんな救いなさいということです。
ここに弘法大師が金毘羅大権現の御告げによってお寺を創建したということのようです。
さらに「天狗の箸運び伝説」というのもあり、天狗がこんぴらさんの祭りで使われていた箸をこのお寺に運んで納めたというものです。
それで箸蔵寺は「金毘羅奥の院、箸蔵山」とも言われています。確かに本殿の左右には、天狗の額が掲げられていました。
こうしたことから、古来、讃岐にある金刀比羅宮との関係が深いのではないか、と思われます。
霊場巡拝
お遍路さんといえば四国八十八か所巡りが有名ですが、その他にもいろいろな霊場巡りがあります。箸蔵寺は八十八か所ではありませんが、次のような霊場として知られています。
四国別格二十霊場の十五番札所
弘法大師は四国に数多くの足跡を残しています。
八十八か所霊場の他に番外霊場として創設されたのが四国別格二十霊場です。八十八か所に二十霊場を加えると百八となります。
すべての霊場を巡ると人間の持つ百八の煩悩がなくなると言われています。
四国三十六不動霊場の四番札所
不動明王は私たちの煩悩を焼き尽くし守ってくれます。
この不動明王を手助けする眷属(配下の神様)の三十六童子を信仰することで悪霊を退散させ守護してくれ長寿をもたらすとされてます。
箸蔵寺では光網勝童子が祀られています。
境内
境内には多くの重要な歴史的建造物があります。
ロープウェイを降りてすぐの所に宿泊や精進料理を頂ける本坊があります。
その隣には本殿まで登ることのできない参拝者のために建立された護摩殿があります。
護摩殿の前には七代目市川団十郎が奉納した灯籠が2基ありました。
護摩殿から本殿へ向かう階段はかなり勾配がきつくなっています。
この階段は278段あり般若心経の文字数と同じです。階段の1段1段に般若心経の一文字を石板で張り付け、踏みしめながら昇って行けば功徳を得られるとされています。
般若心経の階段を昇りつめた先にあるのが、ご本尊である「金毘羅大権現」をおまつりしている御本殿です。豪壮ではありますが華麗な彫り物が多用されている国指定の重要文化財です。
この他にも弘法大師様がまつられている御影堂、薬師如来様がまつられている薬師堂、仁王門、観音堂など多くの堂宇があります。
おわりに
まさに深山幽谷の中に厳かにも神秘的にたたずんでいる箸蔵寺でした。
多くの参拝者が霊験あらたかなご利益を求めてお参りするのにふさわしい場所だと感じました。
きっと優しくて広い心持で私の願い事を聞いてくれると信じて、煩悩から来るさまざまなお願い事をさせてもらいました。