四国中央市は日本一の紙のまち
四国中央市は愛媛県の東部に位置しています。
ティッシュペーパーの「エリエール」でおなじみの大王製紙、ベビー用品「ムーニーマン」生理用品「ソフィ」のユニ=チャームなど、多くの紙関連会社によって繁栄している紙のまちです。
伊予和紙と呼ばれる手すきの和紙や水引などの伝統工芸品も作られていて、紙の原料調達から製造・販売までを一貫してこの町で行っています。
紙関連の製造品出荷額でいうと5,380億円(平成29年)であり、紙のまちランキングで14年連続の第1位です。
市の事業所48%、従業者の67%、製造品出荷額の80%が紙関連産業です。
お札と切手以外の紙製品のすべてを製造販売している、まさに「紙のまち」なのです。
紙のまち資料館
四国中央市は「紙のまち」であり、その歴史は江戸時代に遡ります。
紙産業の歴史と伝統をはじめとする、奥深い紙の歴史と文化を紹介しているのが「紙のまち資料館」です。
玄関入口
お正月向けの、紙で製作した華やかな飾りものが飾っていました。
1階
市内で生産されている紙製品を展示販売しています。
複雑な形態を立体で表す折り紙作品が展示されていました。
紙が使われる前に世界で使用されてきた、文字を記すための用具である中国の木簡や
エジプトのパピルスなども展示されています。
折り紙作品
2階
紙の生産工程が学べる展示や紙漉き体験が出来る実習室があります。
伝統的な和紙生産の過程を学ぶことができる展示でした。
はがき2枚を作る手すき和紙体験は、30分程度で仕上がるようです。
伝統工芸士による水引の見事な作品が展示されているコーナーもありました。
龍の作品
3階
紙に関する事柄をテーマにした企画展がおこなわれる展示室もあります。
私が訪れたときには、書道の作品展がおこなわれていました。
水引について
水引の歴史
髪を束ねる紐を元結といいます。
元結の紐には麻ひもとか組みひもが使われていたのですが、やがて紙をこよりにした水引が使われるようになりました。
明治になると元結が使われなくなり、水引は金封や結納の飾りへと変化していきます。
伊予の水引は、長野県飯田市と並ぶ2大産地です。
きらびやかな色遣いの水引で創作されるデザインの作品は多岐に渡り、華やかな雰囲気を醸し出す素敵なものばかりです。
紙のまち資料館の入り口に素晴らしい作品が置かれており、来館者の目をひときわ引き付けていました。
結納の時の水引
私が妻と結納を交わした時の水引が残っていました。
当時のことは緊張していて全く覚えていないのですが、それはそれは見事な作品です。
このような豪華で華麗なものまで制作できます。
愛媛県では、伝統的な特産品を製造する技術者の社会的評価向上や、後継者の確保を目的として、すぐれた水引作家を「伝統工芸士」として認定しています。
何名もの方が伝統工芸士に認定されて、見事な作品を制作しています。
水引結び検定
伊予水引金封組合が「水引結び検定」をしています。
10級から1級まであり、7級以上になると世界選手権に参加できます。
第5回目の検定が今年8月に予定されていたのですが、コロナの影響で延期になってしまいました。
ちなみに世界選手権は2019年8月25日に第1回が実施されています。
書道パフォーマンス
四国中央市にある愛媛県立三島高校が、書道パフォーマンス発祥の学校です。
元々、書のデモンストレーションとして披露されていたのが、テレビで放送されて人気が出てきました。
これを契機として2008(平成20)年以来、毎年、全国高校書道パフォーマンス選手権大会が四国中央市紙まつりの一環で行われるようになりました。
2020(令和2)年で13回を数えますが、残念ながら新型コロナの影響で中止されています。
第15回書道パフォーマンス甲子園
第3位 上宮高等学校(大阪府)テーマ「努力」
おわりに
四国中央市川之江市は古くからの紙のまちであることが紹介されていて、よく分かる展示でした。
入館は無料なので気軽に訪れることができる場所です。
水引で飾った羽子板