はじめに
香川県高松市の庵治半島の北側に庵治町、南側に牟礼町があります。この地は古くから高級石材の庵治石の産地・石材加工地として有名な所です。
庵治石の歴史と文化を紹介して伝えるために1995(平成7)年、開館したのが「高松市石の民俗資料館」です。ここに収蔵されていた石工用具の791点が1996(平成8)年に国の重要有形民俗文化財に指定されました。
庵治石
庵治石というのは花崗岩のダイヤモンドとも言われている最高級石材です。きめが細かく、変色しにくく、風化に強い石です。「斑(ふ)が浮く」と例えられている、まだらな模様が特徴です。
磨くほどに艶の出る庵治石の石材は、平安時代後期より使われており、その加工技術によって世界一の美しい石に仕上げられています。
手塚治虫のお墓と庵治石
誰もが知っている漫画の神様の手塚治虫さんのお墓は、東京都豊島区巣鴨にある曹洞宗總禅寺にあります。
手塚家歴代の墓石の左側手前に鉄腕アトムやジャングル大帝のイラストが刻まれている石碑があります。この石碑が庵治石で制作されているということです。
風化に強い庵治石なので、いつまでも手塚漫画が訪れる方々に思い出されるよすがとなるのではないでしょうか。
高松市石の民俗資料館
高松市石匠の里公園
駐車場から資料館までは少し高低差があるのですが、そこに広く芝生広場が設けられています。ソリ遊びが出来る芝生坂やジャングルジムなどの遊具もあるので、子供たちも楽しく遊べるようになっています。
ソリやバトミントンの道具なども貸し出してくれるようです。
かわいい鬼さんなどの石彫がいくつか置かれていて、楽しく来館者を出迎えてくれます。
資料館
資料館前には芸術的な石の彫刻がいくつか置かれています。
イサムノグチ、流政之といった芸術家が庵治にアトリエを置いて、優れた芸術品を輩出してきています。その様な影響を感じることのできる作品群です。
資料館の展示は庵治石の歴史と文化を紹介しているものです。石の切り出しから加工までの様子やさまざまな道具が展示されていました。
庵治石の奥深い歴史とそれを取り巻く生活文化についてよく分かる内容でした。
おわりに
高級石材として古くから名を知られていた庵治石について、深く知ることのできる博物館です。また、高松市をはじめとした広く市民に開かれた憩いの場所としての公園としての場でもあります。
モニュメントとしていろいろな場所に石の作品が設置されていますが、何気なく目の中に入ってくる石の作品に注目して見ていきたいと気づかされる資料館でした。