はじめに
山の中に世界初の天体望遠鏡博物館があります。
「なんでこんなところに!」と思ってしまいましたが、多くのボランティアスタッフにより運営される「みんなのちからでつくる博物館」として、地域の活性化に役立っているようです。
設立
2012(平成24)年にさぬき市の多和小学校が閉校となったため、学校の施設をリユースすることで2016(平成28)年3月にオープンしました。
博物館の中
入り口
中に入って受付をすますと、ボランティアのガイドさんが施設を案内してくれます。
1階から3階までを、すべて解説付きで30分以上、案内していただきました。
古い望遠鏡や特徴のある望遠鏡、寄贈を受けた個人や公的機関が所蔵していたものなど、とんでもなくたくさんの望遠鏡が旧小学校のほとんどの教室に収蔵・展示されています。
あまりの数の多さに驚きました。
カルバー46cm反射望遠鏡
1890年前後にイギリスのカルバー工作所で製造されたニュートン式反射望遠鏡です。
今から130年も前に制作された望遠鏡です。
1929(昭和4)年に輸入され、京都の花山天文台に据え付けられていました。
木製の自作望遠鏡
東かがわ市で医師をしていた田村さんが、自分で制作した望遠鏡です。
日本光学工業(現在のニコン)製造望遠鏡
1933(昭和8)年に現在の(株)ニコンが製造した望遠鏡の2号機です。
滋賀県立彦根東高校より寄贈されました。
彗星探索家、本田実さんの望遠鏡
太陽の黒点
大きな望遠鏡で太陽を観望させてくださいました。晴れていたので、太陽の黒点をうまく見ることが出来ました。
設立経緯
代表理事の村山昇作さんは日銀を経て、2002(平成14)年に帝国製薬の社長に就任しました。
2011(平成23)年に退任しています。
村山さんが「天体望遠鏡を文化遺産として残す会」の名称で活動するうちに、多くの望遠鏡が集まり、2010年に一般社団法人「天体望遠鏡博物館」が発足しました。
博物館の候補地は、さぬき市の旧多和小学校跡地となりました。
その頃、多和地区の方々が過疎地の活性化としてどぶろく特区の指定や地元産品の販売などが検討されており、お互いが旧多和小学校を本拠地として活動することとなりました。
博物館を開設に際しては、香川県の地元の方々との心のふれあいと、その縁を大切にして一緒にやっていこうと思ったようです。
博物館のコンセプト
1、「未来へ繋がる博物館」
価値ある文化財として天体望遠鏡を次世代に残します。
2、「『みる』そして『みせる』」
自分で望遠鏡を組み立て操作する体験を通して天文の面白さやすばらしさをしってもらう。
3、「星で天体望遠鏡を楽しむ」
「望遠鏡で星を楽しむ」だけでなく「星で望遠鏡を楽しむ」施設です。
産直市
隣の産直市で地元産の野菜がたくさん販売されていました。
ここから4km弱、行ったところに八十八番札所大窪寺があります。
お遍路さんのための休憩所も設けられていました。
おわりに
大切な文化財を後世に残すために、多くのボランティアの参加を得て、人々の活動の中でみんなで博物館を運営していることがよく分かる施設でした。
産直市もすぐ隣にあって地元の理解と応援に後押しされている博物館だと思いました。
追記
大きなイチョウの木があって、まさに黄色く色づいている盛りでした。
かつてはこのイチョウの木の下で、小学生の歓声が聞かれていたことを思うと、少し寂しい感じもしました。