はじめに
43番札所の明石寺は、歴史ある卯之町のすぐ裏の山中にあり、車で参拝する場合は町の反対側から少し上っていきます。
山腹の深い森に囲まれていて、宗教的な雰囲気が醸し出されているお寺です。
明石寺は「めいせきじ」と読みますが、地元の方からは「あげいしさん」といわれて親しまれているようです。
境内
案内図
仁王門
本堂
本尊の千手観世音菩薩像が祀られています。
大師堂
地蔵堂
地蔵堂には、見事な彫り物が飾られています。
しあわせ観音と供養塔
納経所の隣から、西国三十三ヵ所の観音石像が置かれている道を上がっていくと「しあわせ観音像」が建立されています。端正で慈悲深いお顔の観音像です。
「しあわせ観音像」と並んで建立されているのが、源頼朝の命によって建てられた供養塔です。
平治の乱の後、源頼朝の助命を嘆願したのが池禅尼でした。このあたりが池禅尼の所領だったことにちなんでいるようです。
夫婦杉
縁起
寺伝によると、欽明天皇の勅願により唐からもたらされた千手観世音菩薩を祀るために創建されたといわれています。
8世紀には、熊野より十二社権現が勧請され、修験道の中心道場となっています。
9世紀初め、空海がこの地を訪れた時には荒廃していましたが、嵯峨天皇の勅命を受けて再興しました。
建久5年(1194年)に、源頼朝が池禅尼の菩提を弔うため阿弥陀如来像を奉納しました。
以来、武士からの帰依が篤く、室町時代には領主である西園寺家の、江戸時代には宇和島藩主伊達家の祈願所となって栄えていました。
隣にある熊野神社は明石寺と一体でしたが、明治の神仏分離によって分けられました。
熊野神社
十二社
おわりに
本堂をはじめとして、大師堂、地蔵堂、仁王門は明治時代の建造で、すでに100年以上経過しています。
どの建物も歴史の重みを感じさせてくれるものであり、森閑とした山中の雰囲気にマッチしています。
明石寺での参拝は、森の清浄な空気の中にあってより、深い信心をもたらしてくれるように思いました。