東京ラブストーリーとは
東京ラブストーリーは、愛媛の田舎から上京したカンチこと織田裕二と、帰国子女のリカこと鈴木保奈美の出会いと別れの切ない恋物語でした。
1991(平成3)年に放送されましたが、当時、バブルが崩壊し始めて景気後退局面に入っている時期でした。
今、ドラマを見返すと、だぶだぶのスーツとか肩パット入りのジャケットとか、時代を感じるファッションですね。
ほとんど東京が舞台なのですが、最終回はカンチの故郷愛媛でのシーンになります。
リカがロサンジェルスへの転勤することになって、日本を離れる前にカンチの故郷を訪れます。
黙っていなくなったので、会社の人が心配し、カンチが思い当って愛媛まで追いかけてきました。
カンチはリカを探し出して一緒に故郷を巡ります。
これが久万高原と大洲でのシーンになり、故郷を一緒にめぐった後に、梅津寺駅での最後の別れとなります。
愛媛県のロケ地3カ所
①梅津寺駅
②久万高原町
③大洲市
①梅津寺駅
リカはカンチの故郷である愛媛で一緒に過ごします。
大洲と久万高原と梅津寺駅の3カ所でそのシーンが撮影されたのですが、それぞれ50km以上離れていて、とても遠い場所にあります。
今回、2人の別れのシーンが撮影された松山市にある伊予鉄の梅津寺駅に行ってきました。
駅のホームのすぐ向こうが海岸になっている別れの場面にはもってこいのロケーションです。
堤防のシーン
リカとカンチの別れの会話が梅津寺駅のすぐ隣にある堤防で撮影されました。
(リカ)
「カンチさあ、ロスに行かせようと説得するためにここに来たの?」
(カンチ)
「それもあるけど・・・それだけじゃない」
(リカ)
「行くよ、あたし。あたし、ロスに行く、決めた。顔に書いてあるよ、もう君じゃないんだって。うん、行くよロス。カンチを好きだったこと、胸の奥にしまって。」
(カンチ)
「リカ、もっと楽に生きろよ。」
(リカ)
「カンチもね。」
(リカ)
「駅で待ってる。さっき時刻表見たら、4時48分の電車あったからさっ、あと一時間。」
「それまでに気が変わったら来て。それでもダメだったら、私そのままいなくなるから・・・。」
「最後のお願い・・・。」
(リカ)
「じゃ。4時48分。逢いたいからさよならは言わないよ。」
カンチが堤防の上にいて、リカが下にいる場面ですが、今は堤防がかさ上げされていてかなり高くなっているので堤防に上がって歩くのは危険です。
ドラマの映像の背景には、梅津寺パークのジェットコースターとか観覧車が映って見えます。
当時は営業していたのですが、今は入り口の建物だけで他の施設は無くなってしまっています。
30年経つと変わるのもです。
伊予鉄梅津寺駅のシーン
1時間の間、逡巡したカンチが駅に向かうシーン・・・すでにリカは駅にいませんでした。
わざと一本早い電車に乗ってしまっていたのです。
カンチはリカを駅のホームで探します。
カンチ
「あの、白いコート着た女の子 見ませんでしたか?」
駅員さん
「ああ、おりましたよ。ほら、あそこに立っておりました。」
カンチ
「どこいったんですか?」
駅員さん
「この前の4時33分の電車に乗りました。」
カンチは駅のホームで「バイバイ カンチ」と書かれたハンカチを見つけます。
カンチがリカに貸したハンカチに別れのメッセージを書いて駅のホームに残しておいたものでした。
駅のホームに記念のプレートが置かれてありました。
今でも電車のダイヤは変わらず、30年前の時間と同じに運行されていました。
ちなみにリカの乗車した4時48分発の電車は、松山とは反対方向の終点高浜駅に向かうものです。
東京に帰るのであれば、松山方面行なのですが・・・
梅津寺駅のロケ地は
駅のホームの向こうはすぐ海岸になっていて、穏やかなできれいな瀬戸の海を見渡すことができる絶景ポイントです。
別れのシーンを演出するのにふさわしい素敵な駅でした。
今でもロケ地をめぐる人が絶えないのは、ドラマの素晴らしさもありますが、梅津寺駅のロケーションも素晴らしいからだと思いました。
②久万高原町
東京ラブストーリーの愛媛県でのロケ地、久万高原町へ行ってきました。
カンチが卒業した小学校でリカと出会うというシーンが撮影されたのですが、実際には中学校で撮影されており、残念ながら当時の校舎は建て替えられてしまって新しくなっていました。
それでも当時のロケを偲ぶものが、地元では大切に保管されていました。住民の人たちにとっても大切な思い出であったようです。
ロケでのシーン
リカがロサンゼルスへの転勤を辞退して、会社へも来ずに、どこに行ったか分からなくなってしまいます。
リカが「カンチの故郷を見たい」と言っていたのを思いだしたカンチは、故郷の愛媛に戻ってリカを探します。
カンチはあちこち探し回りますが、リカを見つけることができません。
ふとカンチはリカに、以前、「小学校の柱に名前を彫った」という話しをしていたことを思い出します。
小学校に行ってみると、校舎の柱に「六年二組永尾完治」と刻んであるのを見つけます。その隣には新しく「赤名リカ」と刻まれていました。
来ていることは間違いないと確信したカンチは、再び街中を探し回りますが、出会うことができずに小学校に戻ってきました。
仕方なく小学校に戻ってきて、やっと、ここでリカはカンチと再会することになります。
1,ドラマの小学校は久万中学校
ドラマでは小学校の設定でしたが、実際には久万中学校が使われました。
中学校は1999(平成11)年に建て替えられていて、近代的な立派な建物になっています。
2,「久万高原ふるさと旅行村」にある校舎の柱
久万高原ふるさと旅行村とは
久万高原ふるさと旅行村には、広大な敷地の中にキャンプ場・宿泊用コテージ・天文台があります。天文台には愛媛県内最大の望遠鏡で天体観測をすることができ、プラネタリウムも楽しめます。
さらに石窯でピザを焼いたり、乗馬体験をしたり、アルパカとの触れ合いといった、いろんな体験をすることができます。
まさに「四国最大のネイチャーリゾート」と銘打っている通りの、自然を満喫できる施設です。
管理棟
ドラマで使われた校舎の柱
管理棟の一角に、「東京ラブストーリー」の関係資料が展示されており、ドラマで使用された小学校の「校舎の柱」があります。
カンチが落書きして書いた名前の隣に、リカが相合傘と自分の名前を書いている柱です。
柱の落書き部分は、透明なプラスチィックで覆われて大切に保存されているのですが、じっと見ていると微かに書いてあものが分かる程度になってしまっていました。
3,「まちなか交流館」にある「カンチ&リカ コーナー」
まちなか交流館とは
久万高原町にある久万町商店街は、土佐街道の宿場町や44番札所大宝寺の門前町として賑わってきました。
商店街にあった造り酒屋の面影を残しながら、地域住民と訪れた人が日常的に活用し交流できる施設として2016年に開館しました。
カンチ&リカ コーナー
館に入ってすぐの通路にコーナーが設けられていました。
1991年の鈴木保奈美さんと織田裕二さんのサイン
ロケ地となった旧久万中学校の校舎
小学校シーンの台本
久万高原町のロケ地は
久万高原町に行ってみて、ドラマではカンチの故郷という設定の場所ですが、とてもその雰囲気をよく表している場所だと感じました。
一昔前のロケ地で、当時、使用された中学校自体は、時の経過によって新しくなっていますが、今でもその名残は久万高原町に残されています。
それだけ町の人たちにとっても、印象深く記憶に残っているものだと思いました。
③大洲市
東京ラブストーリーは、古い風情のある町並みが残っている大洲の街で、主人公であるカンチの故郷の場面として撮影されました。
ドラマでは、主人公であるカンチの故郷という設定で撮影され、次のようなストーリーになっています。
リカがロサンジェルスへの転勤を断って、誰にも行き先を伝えずにどこかへ行ってしまいます。
カンチはリカが「カンチの故郷を見たい」と言っていたのを思い出し、カンチの故郷である愛媛に探しに行きます。
2人はカンチの母校で再会し、カンチの思い出の町である大洲の街を巡ることになるというお話しです。
ちなみに、2人が再会した母校の場面は、大洲ではなく久万高原町で撮影されました。
1,おはなはん通り
リカとカンチが2人の子ども時代を思い出しながら歩いていた通りです。
江戸時代の町割と家並が残されている地域で、北側は商屋で、南側は武家屋敷でした。
1966(昭和41)年にNHKの連続テレビ小説で放映された「おはなはん」のロケ地になったことから「おはなはん通り」と名付けられました。
2,別れの手紙を投函した郵便ポスト
カンチと一緒にいたリカが、カンチに気づかれないように、こっそりと別れの手紙を投函したポストです。
3,大洲神社
ドラマの中では、カンチがリカを探す為に神社の階段を駆け下りたり、再開した2人が一緒にお参りするシーンに使われました。
手水舎ではカンチがハンカチを忘れたリカに白いハンカチを貸す場面、大洲の街並みを2人で見下ろす場面が撮影されています。
大洲城の東方にある神楽山に位置しており、福徳・商売繁盛・安産の神として知られている神社です。
1331年、鎌倉時代に大洲城が築城された時に総鎮守として建てられて以来、大洲の街と共に大切に尊崇されてきています。
大洲市のロケ地は
大洲は歴史のある城下町なので、そこかしこに伝統的なものが大切に残されています。単に残しているというだけでなく、それらの歴史的資産を上手く生かして活用している街です。
だからこそ東京ストーリーをはじめとして、映像の世界で様々に活用されているのだと思います。
これからもドラマなどで大洲の街が、どこかで映されることを楽しみにしています。