はじめに
香川県には高松市に全国的に有名な栗林公園があります。その栗林公園に勝るとも劣らない景観を有している大名庭園が、丸亀市にある中津万象園です。
池の周りの1キロメートル余りを、多彩な景観を楽しみながら、飽きることなく歩いてぐるっと一周することができます。
結婚記念の撮影にも最適の場所として人気の庭園です。
庭園の景観
庭園の名所
「観潮楼」
江戸時代に建てられた茅葺の高床式建築です。日本最古の煎茶席で、その名の通り、潮の満ち引きを見ることができたということです。
「大傘松」
樹齢600年余りで、直径15mもある傘を広げた形です。
「伏見稲荷分社」
園内の稲荷社は、千本鳥居で知られる京都の伏見稲荷大社から勧請されたもので、2019年に100本鳥居の回廊が完成しました。
「石投げ地蔵尊」
霊験あらたかなお地蔵さまとして人々の信仰を集めており、白石に願いごとを記して祈願します。
「弁財天」
京極家が近江竹生島の弁財天を祀ったものです。京極氏と近江のゆかりを感じることができます。
園内の施設
「絵画館」
ミレー、コローなどのバビルゾン派のフランス絵画が展示されていますが、館内は撮影禁止です。
館の外には、かわいい庵治石の置き物がありました。
「陶器館」
古代のペルシャ(現在のイラク・イラン)を中心とした地域に出土した陶器・ガラス器などを展示しています。ガンダーラのものでしょうか、仏陀の石彫もありました。
「海望亭」(無料休憩所)
庭園の散策に疲れた場合の無料休憩所として利用されています。
お食事処「懐風亭」
窓越しに庭園を眺めながら、落ち着いた雰囲気の中で食事を頂くことができます。
中津万象園とは
2代目の丸亀藩主であった京極高豊によって、1688年に中津別館として築堤されました。
京極氏は室町幕府の重臣として繁栄した名家です。
織田信長の妹のお市の方と浅井長政の間に生まれた娘のうち「初」は京極高次に嫁いでいます。ちなみに姉は豊臣秀吉に嫁いだ「淀殿」、妹の「江」は2代将軍秀忠に嫁いでいます。
江戸時代の初め、丸亀藩を支配していた山崎氏が3代で無嗣断絶してしまい、その後に京極氏が入封してきました。
広大な園内にたくさんの松を植え、中心には京極氏ゆかりの地である琵琶湖を象った池を置き、近江八景になぞらえた8つの島が配置されています。
その島々を橋で結んで行き来できるようにしている地泉回遊式の大名庭園ということです。
おわりに
庭園自体も素晴らしいものですが、併設の絵画館、陶器館、うちわの里といった芸術を鑑賞できる施設もあり、1日中、ゆったりと過ごすことができます。
季節ごとの花も咲いており、松の緑の中でより一層、美しく映えていました。心もお腹も満たされる一時を過ごすことのできる素敵な場所でした。