はじめに
「臥龍山荘」(がりゅうさんそう)は、大洲市の中心を流れている風光明媚な肱川(ひじかわ)を望むことができる臥龍淵(がりゅうのふち)の断崖絶壁に建っています。
ひなびた趣のある、隠れ家的な茅葺き屋根の家と、素敵で落ち着きのある庭園があり、訪れた人を優雅な気持ちにさせてくれる山荘です。
山荘
山荘案内図
山荘の入り口
石垣に沿った石段を上って行くと臥龍院の玄関になります。
山荘の雰囲気を感じることができます。
山荘内(臥龍院・知止庵・不老庵)
臥龍院(国指定重要文化財)
臥龍院は茅葺き屋根の建物で、霞月(かげつ)の間、清吹(せいすい)の間、壱是(いっし)の間があり、それぞれの部屋には日本の伝統的な細工が各所に施され、職人の創意工夫がなされています。
桂離宮などを参考に、当時の名建築家・名工たちによって完成された名建築といわれています。
玄関の隣にある文庫も国の重要文化財に指定されています。
臥龍院の入り口
霞月の間
知止庵
元は浴室でしたが、戦後に茶室に改装されました。
潜龍洞
かつて氷室として使われていたようです。不老庵へ行く、途中にありました。
不老庵(国指定重要文化財)
臥龍淵を見下ろすことのできる舞台造りとなっており、縁側から真下をのぞき込むと足がすくんでしまう感覚になりました。
建物は数寄屋造りで趣のある趣向を凝らした造りになっています。
不老庵へ
舞台造りの不老庵
部屋の真下に肱川
臥龍山荘とは
臥龍山荘は、3代目の大洲藩主加藤泰恒によって命名されました。
「龍の臥す姿に似ている」にちなんで”臥龍”と命名したといわれています。
元々、この地は藤堂高虎の家臣である渡辺勘兵衛が屋敷を構えていたところでした。
その後、藩主泰恒が風情のある庭園を整備したことから、歴代藩主もここを訪れていましたが、やがて荒廃していってしまいました。
現在の臥龍山荘は、明治時代、大洲出身の貿易商である河内寅次郎が別荘として築いたものです。
平成28年には臥龍院、不老庵、文庫の3棟が国の重要文化財に指定されています。
数寄屋造りの建築や美しい日本庭園を味わうことができ、2011年には、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンの一つ星を獲得しました。
おわりに
河内寅次郎が、その財力を惜しげもなくつぎ込んでくれていたお陰で、まさに日本の伝統を体現している山荘を堪能することができました。
ミシュランが評価しているのも納得の、すばらしい建築物と庭園です。
この山荘を維持していくことも大変だと思いますが、大洲市の歴史遺産として、いつまでも残していって欲しいものです。
手水に花が…