はじめに
香川県と徳島県の県境を東西に走る讃岐山脈の西の端、山懐に抱かれた香川県観音寺市に五郷地区があります。
山の中ではありますが、昔からの人々の暮らしがあり、さまざまな見どころのある地域です。
①重要文化財の豊稔池ダム
讃岐山脈からの柞田川(くにたがわ)を上流で堰き止め、水田を潤すために造営されたダムです。
約90年前の1930(昭和5)年に、干ばつに悩まされていた地元住民の協力によって完成したダムですが、今でも現役です。
当時、アメリカ合衆国の最新技術であったマルチプルアーチ方式が採用されており、ダムの技術史を語る上で貴重な建造物として、2006(平成18)年に国の重要文化財に指定されました。
ダムの下は公園になっていて、ダムを下から見上げることができます。
真下からダムを見上げることができます。水が流れ落ちているダムは、見飽きることがありませんでした。
ダムは満々と水を湛えていました。
②法泉寺
豊稔池ダムから少し遡った所に法泉寺があります。
山里の中の何の変哲もないお寺ですが、紅葉の季節になると、境内に植えられている紅葉が真っ赤に色付き、毎年、もみじ祭りが開催されて大勢の人で賑わいます。
本堂
親鸞像
縁起
鎌倉時代、武士であった藤田常清が仏道を志して、親鸞聖人の稲田の草庵(茨城県)を訪ねて弟子となりました。ちなみに親鸞は、この草案で20年ほど過ごしています。
諸国を遍歴した後、雲辺寺の観音堂で参籠していたところ、観音菩薩の導きによって、この地に草庵を結び、教化に努めたのが始まりとされています。
③五郷ダム
雲辺寺山に源を有し、本流の柞田川に合流する前田川に建設されています。
下流域の洪水調節および水不足の解消などを目的として建造され、1964(昭和39)年に完成しました。
④五郷水車小屋
「五郷」というのは5つの集落からなり、古くは伊予や阿波に通じる山越えの道沿いに栄えていた歴史ある地域です。
「五郷」の暮らしと文化を次世代に繋いでいきたいという思いから「五郷里づくりの会」が発足し、地区のシンボルとして水車小屋を復活させました。
ピザ窯
隣にはピザ窯も作られていて手作りピザを楽しむことができます。
憩いの場
地域の住民のつながりを楽しみながら強めていく場所のようです。
おわりに
人口が減少し高齢化率も高い地域ですが、住民の方々の地域への思いがあふれている水車小屋をはじめとして、たくさんの見どころがありました。
豊かな自然の中で息づく人々の暮らしを垣間見た思いです。
いつまでも、この地域の自然とそれを守って暮らしている人々のありようが続いていてくれるといいなと思いました。