はじめに(金砂湖=きんしゃこ)
愛媛県の伊予三島駅から南に向かうと、すぐに険しい法皇山脈になります。
くねくねと曲がっている国道319号線を通って、山を越えた所に銅山川が東西に流れています。
銅山川を柳瀬ダムで堰き止めてできたのが金砂湖(きんしゃこ)です。
深い山に囲まれた中に、時折、人の暮らしのある静かな山里が姿を見せてくれる場所です。
春の桜、梅雨時のアジサイ、秋の紅葉と四季折々に自然の景色を楽しむことができます。
伊予三島から金砂湖までの道
具定展望台は「恋人の聖地」
「恋人の聖地」に認定されている展望台です。
ツーリングに来られていたライダーさんのご厚意で、バイクも一緒に撮らせていただきました。
こんなかっこいいバイクに、彼女(妻?)を載せて「恋人の聖地」にやって来ると素敵ですね。
一生に一度はやってみたかった。
くれぐれも私のバイクではありませんので悪しからず。
国道319号線のよく整備された2車線の道を上って行った、中腹の標高349メートルの所に具定(ぐじょう)展望台があります。
伊予三島の市街地や瀬戸内海が、まるで鳥が空の上から俯瞰しているかのように眼下に広がっています。
眺めがよく、夜景も綺麗な場所であることから、デートスポットとしても人気があります。
夜景愛好家による非営利団体「新日本三大夜景・夜景100選事務局」が選定した、日本夜景100選(2004年)に認定され、さらに、2010年には日本夜景遺産にも選定されています。
2012年には、プロポーズにふさわしいロマンチックな場所として「恋人の聖地」に認定されました。
フェンスには二人の気持ちを確かめ合う、いくつもの錠前が架けられていました。
法皇トンネル
伊予三島から金砂湖へ向かう道路は2車線あってよく整備されているのですが、トンネルは1車線しかなく入り口は急に狭くなっています。
トンネル内には9か所の退避場所が設けられているのですが、対向車が来るのが見えると、少し怖い思いをしました。
水ヶ滝
法皇トンネルを抜けた所にあり、落差が40メートルもある滝の様子を目の前で見ることができます。
金砂湖畔公園
金砂湖は銅山川を流れる川を柳瀬ダムによって堰き止めた、延長7㎞の人造湖です。
標高290mの地点にある湖は、真っ赤なトラス橋の「平野橋」と見事なコントラストを描き出しています。
湖の名前は1300年以上前に、銅山川で砂金を採取していたことに由来しているそうです。
水のさと資料館
公園内には資料展示館があり、柳瀬ダムの歴史や水没したかつての村の様子を記録した写真などが展示されていました。
広い公園内には舟形遊具も設置されています。
柳瀬ダム
金砂湖公園から1車線しかない、細い曲がりくねった山道を6km程も金砂湖を下った所に吉野川の支流である銅山川に造られた柳瀬ダムがあります。
法皇山脈の北側にある伊予三島・川之江は雨の少ない瀬戸内海気候のために水不足に悩まされてきました。
何とか銅山川の水をひくために、1954(昭和29)年に多目的ダムとして完成しましたが、ダムが完成したことで柳瀬集落が水没しています。
慰霊碑
建造にあたっては8名の尊い命が失われたようで、慰霊のための碑が建立されています。そのうちには19歳で犠牲となられた方がおられます。
多くの人命が失われた上での完成であったことを、忘れてはならないと思いました。
おわりに
柳瀬ダムによって巨大な金砂湖が出現し、人々の豊かな暮らしをもたらしてくれました。
四季折々の自然の中で、金砂湖を中心とした景観は見る人の心を癒してくれています。
反面、湖のために失ってしまった村のことやダム建造によって犠牲となった方がいたことを忘れてはならないと改めて思いました。