はじめに
愛媛県の内子町は、松山市から車で50分ほど南西に行った所にあります。
松山から宇和島への街道筋の町として栄え、また、江戸時代から明治にかけては和紙と木蝋の産地としても反映していました。
大正時代に建築された内子座や古い町並みがよく保存されている町です。
凧揚げが盛んな地域でもあり、五十崎凧博物館にその様子が展示されています。
内子町の観光名所
①内子座
内子座は大正天皇の即位を祝って、回り舞台、花道、桝席、楽屋などがある純和風の本格的な芝居小屋として建築されました。
昭和40年代になって老朽化のため取り壊されようとしましたが、まちづくりの核として活用していこうという地元住民の熱意によって改修・復元されることとなりました。
1985(昭和60)年に工事が完了し、芝居小屋として再出発を果たしています。
現在では、内子町の芸術文化活動の拠点として活用されています。
2021(令和3)年11月には、西日本豪雨からの復興支援の一環として愛媛県民限定ではありましたが、歌舞伎俳優の市川海老蔵さんによる公演がありました。
五穀豊穣(ほうじょう)の願いを込めた「三番叟(さんばそう)」などが披露されたそうです。
内子座の外観
レトロな雰囲気があります。
内子座の舞台
検閲台
言論統制があった時代の名残です。
奈落
舞台のすぐ下の様子です。人力で回り舞台を回す仕掛けがありました。
②五十崎凧博物館
1989(平成元)年、日本初の公営の凧の博物館として開館しました。
世界中から収集した珍しい凧などが、常時400点余り展示されています。
③五十崎大凧合戦
江戸時代の頃より毎年、旧暦の5月5日に男子出生の初節句祝いとして一族郎党で凧をあげていたのが合戦の始まりのようです。
内子町最大の伝統イベントで「ガガリ」という刃物を凧糸に仕込んで、他人の凧糸を切り合う大凧合戦です。
小田川
大凧合戦が行われている小田川の河原に「凧の里」とありました。
五十崎で竹材店を営みながら版画家として活躍されている山田きよ(本名 清昭)氏の凧合戦のポスターが凧博物館に展示されていました。
地元で生産された和紙を使用した、ほのぼのとした素朴な味わいで柔らかい色調のポスターです。
④C12形蒸気機関車
「シーコロ」の愛称で親しまれていた蒸気機関車で、内子町の繁栄を支えていた内子線を走っていた最後の蒸気機関車です。
その姿を後世に伝えるためにということで、内子駅前に保存されていました。
おわりに
山間の小さな街道筋の街並みですが、地域の歴史や伝統を受け継ぎ、地域の方々が大切に守っています。
コロナの影響で大凧合戦などのイベントも中止を余儀なくされているようでしたが、また、昔どおりに復活してほしいものだと思いました。