はじめに
高知城から少し離れた鏡川沿いに、元藩主山内家ゆかりの山内神社があります。
すぐ隣には、旧山内家下屋敷の遺構である重要文化財の長屋が大切に保存・展示されています。
高知城だけでなく、江戸時代の雰囲気を味わうことができる場所でした。
山内神社
山内神社は土佐藩の初代藩主山内一豊、妻千代、および土佐藩歴代藩主を祀っています。
境内の入り口
参道
木漏れ日の心地よい木々の中を歩いて、本殿へと向かいます。
亀石
参道の途中に、まるで本物の亀かと思ってしまう亀石がありました。
本殿前広場への入り口
由緒
1806年、10代藩主豊策(とよかず)が藩祖山内一豊夫妻と2代忠義を祭神とする藤並神社を高知城内に創建したことに始まります。
1871(明治4)年、藤並神社の御旅所であった現在地に山内神社が創建されました。
1945(昭和20)年、戦災により焼失してしまい仮宮で祭祀が行われていましたが、1970(昭和45)年に社殿を再建して藤並神社を合祀し、土佐藩歴代のすべての藩主を祀る神社となっています。
本殿
「大政奉還を慶ぶ山内容堂公」像
旧山内家下屋敷
幕末に前藩主山内容堂の下屋敷が設けられた場所にある遺構です。西郷隆盛をはじめとして諸藩からの使者と面会が行われ、政治交渉の重要な場となっていました。
明治以降、下屋敷は山内家の本邸として使用されていましたが、戦後に売却されて、現在はホテル三翠園になっています。
旧山内家下屋敷長屋(重要文化財)
1978(昭和53)年、ホテル三翠園の外構の一部として保存されていた長屋は、高知市に譲渡され、翌年、国によって重要文化財に指定されています。
大名下屋敷の長屋は全国的にも珍しく貴重な遺構です。
長屋の全景
長屋入口
長屋は、下屋敷の警護にあたっていた足軽が居住していたといわれています。
長屋の1階
南北に長い長屋で、一階はそれぞれ異なった間取りの7区画に分かれています。
下層武士や庶民の生活道具が置かれています。
長屋の2階
二階は板張りで、建設当初の柱や梁がよく残っていました。
土佐の偉人の肖像写真や、精巧に作られた昔の和船模型が展示されています。
おわりに
山内神社の隣に下屋敷長屋があり、かつての藩主であった山内家ゆかりのものが大切にされています。
どちらも静かで落ち着いた雰囲気の場所でしたが、幕末維新の激動の時代を生き抜いた武士たちの息吹を感じることができたように思います。