はじめに
21番札所太龍寺の手前に22番札所平等寺があります。
こじんまりとしていますが、弘法大師ゆかりの由緒正しい歴史のあるお寺です。
農村の原風景である里山に村の人々とのつながりを大切にしながら存在しているように感じました。
境内
仁王門
駐車場から道を隔てて、すぐそこに仁王門があります。
仁王様
朱色の鮮やかな阿像と吽像が参拝者を迎えてくれます。
コロナの影響でマスク姿です。


弘法の霊水
白水の井戸、開運鏡の井戸ともいわれているそうです。
弘法大師が水を求めて井戸を掘ると乳白色の水が湧いたとされています。
万病に効果ありといわれている水です。
男厄坂
仁王門からまっすぐに階段を上っていくと本堂があります。
本堂
本尊の薬師如来様
2014年までは秘仏でしたが、現在は公開されていて、誰もが薬師如来様を拝顔することができます。
平等寺はとてもオープンなお寺でした。
護摩堂
本堂の隣に、ひっそりと建っています。
大師堂と観音堂
本堂・護摩堂を回って階段で降りていきますが、女厄坂と呼ばれている階段になっています。
一段一段に1円玉がたくさん置かれていました。
階段を降りたところに、大師堂と小さな観音堂が並んでいます。
縁起
814年、空海が徳島県阿南市新野町に来た時に、水を求めて井戸を掘ったところ乳白色の水が湧きだしました。
そしてこの地に滞在していた時に、薬師如来のお姿が脳裏に浮かび、木に刻んだのが本尊の薬師如来像だとされています。
空海は、この薬師如来様のお力によって「人々の心と体の病を平等に癒し去る」という誓いを立て、行を行ったとされています。
大師の「平等に癒し去る」という誓いから平等寺と名づけられました。
初めに井戸から乳白色の水が湧き出ていたため、山号は「白水山(はくすいざん)」と名付けられています。
室町末期の戦乱によって寺は荒廃してしまいますが、江戸期になって伽藍が再建されました。
現存する本堂は1737年に建立された薬師堂で約280年の歴史があります。
境内の全景
おわりに
規模が大きくて壮大なお寺ではありませんが、人々の日常の生活と結びついた信仰本来の姿がうかがわれるお寺です。
本堂にある本尊の薬師如来様や大師堂もオープンに開かれていて、隠すことで有難さを増すようなことではなく、人々に見てもらうことで身近に仏様やお寺を感じてもらおうという姿勢が表れています。
「心と体を癒し去る」という弘法大師の誓いによって建てられた平等寺には、健康を願う多くの人たちが参拝に訪れています。
その願いをまさに受け止めてくださるかのような静かで開かれた22番札所でした。
追記:花手水
ランの花びらが、手水鉢に浮かべられていました。
手水の石の模様と相まって、とてもきれいです。