はじめに
竹林寺は高知市郊外の五台山にあり、車で一方通行の細いみちをくねくねと曲がった先の山頂に位置しています。四国に5基しかない五重塔の一つがある31番札所です。
隣には高知出身の著名な植物学者である牧野富太郎博士を記念した高知県立牧野植物園があります。
境内
仁王門
仁王様は1686年に作られています。迫力ある阿吽の像でした。


本堂(文殊堂)
本尊の文殊菩薩をお祀りしているので文殊堂とも言われています。江戸時代初期に建立されており、重要文化財です。
大師堂
お手綱となで五鈷(ごこ)でお大師様と深くつながります。


五重塔
かつては三重塔があったのですが、1899(明治32)年に台風で倒壊してしまいます。その後、1980(昭和55)年に五重塔として再建されました。
高知県で唯一の五重塔です。総檜造りで、塔内にはインド・ブッダガヤから勧請された仏舎利が納められ、大日如来さまがお祀りされています。
四国に五重塔がある寺院は五カ寺ですが、そのうちの一つです。
日吉神社
仁王門を入って右手に日吉神社の鳥居が見えます。鳥居の前には一対の狛犬が鎮座していますが、よく見ると珍しいことに親子の狛犬でした。


五智如来
大日如来を中心として東西南北に5仏が配置されています。「お地蔵さんではありません」という注釈がありました。
鹿の像
はるか昔、五台山が島だったころから鹿が住みついていました。人々は鹿は文殊菩薩のお遣いであるとして大切にされていましたが悪い病気で皆、死んでしまいました。
書院
19世紀初めの江戸時代に土佐藩主参詣のために造営されました。2016(平成28)年に国の重要文化財に指定されています。
庭園は14世紀初めの鎌倉時代に、土佐にやってきた無窓疎石によって作庭されたと伝わっています。
竹林寺ようかん
お土産に境内の売店で「竹林寺ようかん」を買いました。丸くてかわいい、食べやすく工夫しているようかんです。
筒の下から押し出すと出てきます。しつこくない甘さで美味しくいただきました。


縁起
聖武天皇が文殊菩薩から仏教の奥義を授かるという夢を見ました。このことから行基に唐の五台山に似た霊地を探して伽藍を建立することが命じられ、724年、土佐に開創されることとなりました。
800年代初めには、この地で弘法大師が修行なされたという由縁でのちに31番札所となっています。
江戸時代には土佐藩の厚い庇護を受けて、寺運は大いに盛んとなりました。
名僧が集まり「南海第一道場」と呼ばれ、学問寺として土佐の信仰や文化の中心地となります。
明治初頭の廃仏毀釈によって衰微しましたが、現在では復興整備されて自然豊かな四季折々を楽しむ人々で賑わっています。
竹林寺の隣にある牧野植物園でランチ
植物園正門を入った牧野富太郎記念館の本館にカフェレストラン&ショップがあります。レストラン利用だけなら入園料はいりません。
カフェレストラン「アンブル」では、シェフこだわりの『薬膳ランチ』や『お魚ランチ』など、旬の地元食材をふんだんに使ったランチメニューをいただくことが出来ます。小学生以下にはキッズプレートが用意されています。
「ボタニカルショップnonoca」では、牧野グッズや土佐の地酒、高知産の土産ものなどが販売されています。
おわりに
苔むした森林の中に佇んでいる竹林寺の伽藍は、とてもすがすがしくて気持ちを落ち着かせてくれる環境の中にありました。参拝した者が心を癒され、和やかになる場所ではないかと思います。
隣の牧野植物園でのランチも素敵なものでした。美味しい空気の中で、植物に囲まれ、気持ちが穏やかになる五台山でした。
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