歴史
高知県の田んぼが広がる平野の中に国分寺はたたずんでいます。
この近くには、かつて土佐の国司として赴任した紀貫之が4年間、執務をした国衙があります。
古代にはこの地域が土佐の中心地でした。
国分寺は聖武天皇が「金光明最勝王経」を納め、行基が天下泰平を祈願して創建したとされています。
のちに、弘法大師によって真言宗のお寺として中興され。29番札所となりました。
仁王門
1655年に土佐2代藩主山内忠義の寄贈によって建立された2層作りの立派な入り口の門です。
阿吽の仁王様に守られた門を入っていくと、杉木立に包まれた境内です。
伽藍
本堂(金堂)
仁王門を入って正面に本堂(金堂)が見えます。
国の重要文化財に指定されている現在の金堂は、長曾我部国親、元親が永禄元年(1558年)に再建しており杮葺きで寄棟づくりの特徴があります。
本尊として千住観世音菩薩を祀っています。
開山堂
仁王門から本堂へ行く間の左手に開山堂があります。
開祖の行基を祀る開山堂は建築年不詳ですが1849年に改築しています。
大師堂
金堂正面の左り側には、1634年に建立された弘法大師を祀るお堂があります。
もとは杮葺きでしたが昭和になって銅板葺きに改められています。
空海が大師号を賜って1100年を記念して「御手綱(みてづな)」が設けられていました。
五色の紐が堂内のお大師さまの手に結ばれており、紐に触れながら「南無大師遍照金剛」を唱えてお大師様と御縁を結ぶというものです。
客殿(お寺カフェ)
来客をもてなすための客殿で、お寺カフェが行われています。
立派な玄関を入ってカフェに案内されると、そこからは創建当時の塔心礎のある美しい庭園を眺めることができました。


お抹茶と、お茶請けには銘菓「土佐日記」をいただきました。
「土佐日記」は小ぶりの可愛らしいお菓子で高知のお土産の定番で、おしゃれな箱に入っています。


素敵なお庭を見ながら美味しいお抹茶を頂いて、静かでゆっくりとしたくつろげるひと時を過ごすことが出来ました
客殿は、まるで江戸時代の大名のような気分にひたれる空間です。
おわりに
平地の中で杉木立に囲まれてひっそりと整然と立ち並んでいる伽藍は、山の中にある霊場とは違った趣があります。
かつてこの地に赴任していた紀貫之も国分寺にお参りに来ていたのかな、といにしえの思いにふけりました。
また、妻が夫の禁酒を願かけしたところ叶えてくれた、というので酒断ち地蔵と呼ばれているお堂もありました。
地元の方々の厚い信仰心をうかがえるものです。
歴史も伝統もあり地元の人々にも大切にされている29番札所の国分寺でした。