はじめに
愛媛県宇和島市には、現在、宇和島市立歴史資料館として利用されている歴史的建造物があります。
明治期に建てられた西洋風の、趣あるおしゃれな建物として、存在感は抜群です。
宇和島市歴史資料館
建築の様式
日本人が西洋風の建物を参考にして、見よう見まねで建てた「擬洋風建築」とされています。「擬洋風建築」は、西日本に少ないことから歴史的に価値の高い建物のようです。
明治初期に、このような西洋風の建物を宇和島の人たちが建てたことは、宇和島の先進性を物語っているものだと思います。
屋根裏の蕪束(かぶらづか)
かぼちゃ束ともいうそうですが、何やら複雑で独特な洋風屋の根組のようです。
建物の経緯と展示
建物は1884(明治17)年に「宇和島警察署」として建てられたものです。
1953(昭和28)年、南宇和郡愛南町に移築され、役場として1990(平成2)年まで使用されていました。
1992(平成4)年、宇和島に里帰りをし、樺崎砲台跡側に復元され宇和島市歴史資料館として活用されています。
1Fエントランスホール
2F展示室
宇和島の歴史のあらまし
江戸時代までの歴史について概説しています。
明治の宇和島人
明治時代に活躍した宇和島出身の大審院長児島惟謙や民法起草の穂積陳重などについて展示されています。
樺崎砲台跡(かばさきほうだいあと)
江戸時代末に幕府は沿岸防備を固めることを命じますが、宇和島藩においても各所に砲台が気づかれました。
宇和島湾の防備のために築造されたのが樺崎砲台です。
洋式工法によって5門の砲が設置されるように築造されています。
1866(慶応2)年、イギリス公使パークスが宇和島に来航したときには、ここから礼砲を撃ったそうです。
おわりに
きちんと整備された歴史的な砲台跡と、その側に再建された、これも貴重な西洋風の建物を見学することができました。
幕末から明治にかけての激動の時代の雰囲気を感じることができる場所です。いつまでも保存され、多くの人が訪れるといいなと思いました。
追記:小型焼玉エンジン
構造が簡単なことから明治から昭和にかけて広く用いられていたエンジンです。
かつては、小型船舶に多く使用されていたようです。
燃費が悪く出力が低い、始動に時間がかかるといったデメリットのため、現在では使用されなくなってしまっています。
珍しいエンジンのようで、保存・展示されていました。