はじめに
紅葉が美しい四国山中の断崖絶壁の岩肌にへばりつくようにお寺があり、駐車場からも約30分ぐらいは山の中を歩いて上って行かなければなりません。
厳しい山道ですが、深山幽谷の自然の中を進んでいると、心も洗われてくるような感覚でした。
鎌倉時代中期には、一遍上人が岩屋寺で修行しており、その様子が国宝『一遍聖絵』に描かれているように、古くから山岳霊場として厚く信仰されています。
境内
境内案内図
参道口から本堂までは、急傾斜の坂や石段が約600mにわたって続いています。
参道入り口の石柱門
石柱の上には、小さな仁王さまが鎮座しています。
山門
昭和の初めに、山麓からの参道に建立されました。
虚空蔵堂 (こくうぞうどう)
1747年の江戸時代に建立されています。
「雨寶(宝を雨降らす)」という扁額の文字があり、お宝が雨のように降り注ぐという虚空蔵菩薩さまのご利益があるといわれています。
弁財天
虚空蔵堂の裏にある岩窟には、金運向上にご利益があるとされる弁財天さまがお祀りされています。
道開不動尊(みちびらきふどうそん)
虚空蔵堂の後に祀られている不動明王さまです。行き詰まった時にお詣りするとご利益があるようです。
本堂
1927(昭和2)年に建立されている本堂は大師堂よりも小さく見えます。これは山全体を本尊とするということから、背後の岩山と一体となるよう建てられました。
岩屋
本堂の隣にある岩屋(法華仙人堂跡)には、はしごで上ることができます。
恐る恐る上ってみましたが、あまりの高さに足が震えました。
上がった所には木造の五輪塔のような記念物があります。ここからは境内を一望でき、まさに修行の場という所でした。
穴禅定
本堂の下に深さ10数メートルの洞窟があり、地蔵尊、不動明王、弘法大師の石像をお祀りしています。
大師堂
本堂より少し前の1920(大正9)年に建立された大師堂は、近代和風建築の代表的な建物として国の重要文化財に指定されています。
仁王門
44番札所である大寳寺の裏山から、遍路道を登り下りしながら山を越えて岩屋寺へ向かうと、この仁王門が入り口となります。
江戸時代の1790年に建立され、明治の大火でも焼失を免れたのですが、老朽化が進んでしまっています。
遍照閣
平成になって建てられた新しい各種体験施設と休憩用のテラスがあります。
テラスから見た景色です。
縁起
寺伝によれば、9世紀初めに修行の地を探して山に入った空海が、神通力を備えた法華仙人(ほっけせんにん)という女性と出会いました。仙人は空海に帰依してこの山を献上したといいます。
空海は不動明王の木像と石像を造立し、木像はお堂に安置し、石像は奥の院の岩屋に祀って秘仏として、岩山全体をご本尊の不動明王としたといわれています。
鎌倉時代中期には、時宗の祖である一遍がこの寺で修行をしています。
第44番札所大寶寺の奥の院とされていましたが、現在は45番札所となっています。
1898(明治31)年に、仁王門と虚空蔵堂を残してほとんどを焼失してしあいました。
その後、順次、伽藍が再建されていきました。
石碑「一遍上人修行之地」
時宗の開祖である一遍は、道後温泉の裏手あたりで生誕しています。詳しくはこちらをご覧ください。↓↓↓
おわりに
山上の切り立った崖に食い込むように建物が建てられており、駐車場から、かなり上って行かなければならず、手軽にお参りというわけにはいきません。
お遍路さんにとっても、まさに厳しい修行のための道場というお寺でした。
紅葉の綺麗な道中