はじめに
松山から高知に向かう古い街道に面した山裾に、こぢんまりとした46番札所の浄瑠璃寺があります。
よく手入れされた森の中のような風情のあるお寺です。
いわれのある石碑が多く境内にちりばめられていて、「御利益のよろず屋」といわれているように、一つ一つ丹念に祈願して回ると良いようです。
お寺のすぐ裏手に駐車場があり、段差もなくスムーズに参拝できます。
ハスの花咲く浄瑠璃寺
浄瑠璃寺にある弁天池では、蓮の花が見事に咲き誇っていました。(7月8日)
衛門三郎の故郷
このあたりはお遍路の元祖ともいわれる、衛門三郎の故郷でもあります。
松山市出身の俳人である正岡子規の句碑が、境内入口(階段の左側)にありました。
「永き日や衛門三郎浄るり寺」
「衛門三郎」については、徳島県の12番札所「焼山寺」近くに終焉の地「杖杉庵」があります。詳しくはこちらをご覧ください。↓↓↓
境内
本堂
入口から境内への階段を上がると、境内は木々に囲まれており、正面に本堂が見えます。
ご本尊は薬師如来さまです。
本堂には祈願のための、お札が貼り付けられ、千羽鶴が奉納されていました。参拝者の信仰や、それを受け止めてきたお寺の思いを感じることができました。
大師堂
赤ちゃんの時の弘法大師(空海)様です。抱き上げてみると、何かを感得できます。
一願弁天
弁天は古代インドにおける女性の水神といわれ、本堂左側にある一願弁天は1つだけ願いを叶えてくれるとされています。
イブキビャクシン
樹齢1000年を超すといわれている松山市の指定天然記念物です。平安時代から、この場所に立っているということで、歴史を感じます。
仏手花判(ぶっしゅけはん)・仏手跡・仏足跡
仏手花判は文筆達成の願いが叶うといわれる、お釈迦様の指紋です。
説法石
お釈迦様が説法した霊鷲山(りょうじゅせん)の石を埋め込んだという説法石がありました。
燈ぼさつ
高く知恵の燈を掲げて人生を照らしていただけます。
縁起
寺伝によれば、8世紀初、布教に訪れた行基がお堂を建立して、本尊の薬師如来と脇侍の日光菩薩・月光菩薩、十二神将を刻んで安置したとされています。薬師如来の浄土が東方浄瑠璃浄土であることから「浄瑠璃寺」となったそうです。
その後、9世紀初に空海が再興したと伝えられています。
室町時代末期には河野氏の家臣であった平岡道倚(みちより)が伽藍を整備しましたが、18世紀初めには焼失してしまいました。
江戸時代中期に庄屋から仏門に入った堯音(ぎょうおん)の尽力により復興されています。
弁天池のハスの花
九横封じ石
病気、暴力、淫酒、火傷、水難、害獣、転落、毒、飢えといった九の災難を救ってくれるという「「九横封じの石」です。
籾大師
おわりに
良く整えられた木々に包まれるように伽藍が建っており、また、いわれのある石碑がちりばめられている境内は、参拝者の煩悩を優しく解きほぐすような空間になっていました。
ご利益のある木や石に囲まれた静かな境内の中で一時を過ごすと、心が洗われたような思いをすることができました。