五剣山八栗寺の縁起
五剣山は古来から修験道の地であり、この地で空海も修行をしています。
その時、天から5振りの剣が降り降りてきて、五つの峰にその剣を埋めました。
この山を五剣山と名付けるとともに、ここから八つの国を見渡せたので「八国寺」と名付けて堂を建立しています。
空海が唐に行く前に寺に八個の栗を植えたのが、帰ってきてからすべて成長していたので「八栗寺」と寺名を改めました。
土佐の長曾我部元親による戦火で本堂をはじめとする堂宇は焼失してしまいますが、江戸時代に高松藩松平家の保護によって再興していきます。
1706(宝永3)年の宝永地震によって五剣山の東の峰が崩落してしまい現在のような山並みになりました。
本堂
弘法大師空海の作といわれる聖観自在菩薩が本尊として祀られています。
八栗寺は高松藩松平家の祈祷所として保護されました。
高松藩松平家は江戸幕府の御三家である水戸藩に連なる家なので、本堂には葵の御紋の幕が張られています。
聖天堂
聖天堂には弘法大師空海作といわれる「観喜天」が祀られています。
「歓喜天」とは人の歓びを自らの喜びとする天尊です。
後水尾天皇の皇后である東福門院の念持仏でしたが、1677年に八栗寺にお堂を立ててここに祀ることとなりました。
ちなみに東福門院は、2代目将軍の秀忠と正室お江の方の娘です。
お江の方の母親は織田信長の妹のお市の方であり、豊臣秀吉の側室の淀殿の妹になります。歴史上の人物に血縁のある女性でした。
「歓喜天」は50年に一度、開帳していて、次回は2027年の予定だそうです。
中将坊堂
七福神の一つである大黒天の生まれ変わりとされており、讃岐三大天狗のうちの一人である中将坊を祀っています。
讃岐三大天狗とは五剣山の中将坊、白峰山の相模坊、金毘羅山の金剛坊です。
中将坊は夜になると山から下りて行って、皆のために良いことをして朝帰るとされています。
菩提樹
お釈迦様はインドのブッダガヤの菩提樹の下で悟りを開いたとされています。
八栗寺にも立派な菩提樹の木がありました。
この木は元々はお大師様のお手植えとされて天然記念物であったそうですが、寿命が来た後に根元から再び芽が出たもののようです。これを「ひこばえ」と言いますが芽が出てから50年経ています。
菩提樹の花言葉は「夫婦の愛・結ばれる・熱愛・結婚」なので縁結びのご利益があるかもしれないということです。
仏足石
インドのブッダガヤにある菩提樹の側には仏足石が祀られています。
これに倣って八栗寺でも仏足石を祀ってあります。バラの花とか、いろんな花で綺麗に飾られていました。
おわりに
八栗ケーブルを利用して八栗寺に参拝することが出来ます。
かつての門前は旅館や料理屋さんが立ち並び賑わっていたようですが、今は飲み物を置いてあるお茶屋さんが細々と営業しているだけでした。
お寺の入り口付近には、お迎え大師展望台があり讃岐の街並みや景色を一望することが出来ます。
人も少なく静かな環境の中で、八栗寺の歴史や信仰を感じることのできるひと時を過ごして来ました。
追記:八栗ケーブルカー
ケーブルカーで八栗寺へ行くことができます。
詳しくは、こちらをご覧ください。↓↓↓
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