はじめに
金泉寺(こんせんじ)のある板野町は歌手アンジェラ・アキさんの出身地です。
四国ではアンジェラさんが作った歌「ふるさとの色」が、NHKのローカル番組で時々流れています。
板野町の風土が育んだアンジェラさんならではの、やさしくて穏やかなメロディーの心に残る歌だと思います。
アンジェラさんの歌のように、金泉寺は板野町に古くからあるお寺として、地元の人だけでなくお遍路さんにも親しまれ続けてきました。
境内
仁王門
朱色の鮮やかな仁王門です。金色の目と金色の首飾りが鮮やかでした。
ごくらくばし
仁王門をくぐって参道を進み赤い「ごくらくばし」を渡るとそこに本堂があります。
本堂
ご本尊は釈迦如来さまです。
長慶天皇の御陵
長慶天皇は南北朝時代の南朝の天皇で、1926(大正15)年に第98代天皇として公認されました。
長慶天皇の御陵は全国各地に20箇所以上あるといわれていて、そのうちの一つが金泉寺本堂の裏側にあります。
ここにあるのは1916(大正5)年に発掘された「御陵石」と呼ばれるものです。
大師堂
堂内であ赤いお大師様を拝観することができます。
お寺には「漁に出て嵐のために港がわからなくなったとき、赤くひかり輝く弘法大師が現れて無事に港にたどり着くことができた」という絵馬があります。
弘法大師像を改修するとき、本来は朱色だったということが分かって本来の色に復元されたものです。
黄金地蔵尊
お地蔵さまの前には井戸があります。
井戸をのぞいて、自分の姿がはっきり見えると長命、ぼやけて見えると短命ということです。
未来が見えるようで怖い話です。
倶利伽羅(くりから)龍王像
不動明王の化身とされていて、お参りするとなんでもご利益があるようです。
観音堂
源義経が戦勝祈願をしたので、勝運(しょううん)観音とも言われています。
閻魔堂
弁慶の力石
源義経が弁慶の力試しに持ち上げさせたといわれる「弁慶の力石」です。
土の中に埋もれているようですし、とても大きな石なので持ち上げられるのでしょうか。
慈母観音像
カプセルに入った金の童子に水を落としています。
多宝塔
縁起
聖武天皇の勅願によって行基が「金光明寺」を開基しました。
弘法大師がこの地を訪れた際に村人たちが水不足で困っていたので、井戸を掘ったところ水が湧き出ました。
水は「長寿をもたらす井戸」の霊水とされ、寺名も「金泉寺」に改められます。
弘法大師を篤く信仰されていた亀山法皇は金泉寺にしばらく滞在されています。
この時、京都の三十三間堂を模した堂を建立して千体の千手観音像が祀られました。
以来、皇室との由縁が深く、長慶天皇の御陵も本堂裏にあります。
源平合戦の折には、源義経が屋島へ向かう途中に立ち寄り先勝祈願をしたようです。
1582年、長曾我部氏による兵乱によって大半が焼失してしまいましたが、徐々に再興されて今に至っています。
おわりに
弘法大師だけでなく源義経や皇室といった歴史上の人々にゆかりのあるお寺でした。
静かな田舎の住宅街にあるお寺ではありましたが、歴史と奥深いかかわりのあることが実感できました。