はじめに
吉良川は、高知県の東部にある室戸市、有名な室戸岬の西側にある太平洋に面した町です。
小さな町なのに、どうしてこんなにたくさんの伝統的で立派な建物が多く残されているのかと思ってしまいました。
今では、かつての繁栄を偲ぶことができる建物がよく保存され、静かで落ち着いた町並みとなっています。
重要伝統的建造物群保存地区
室戸は台風の常襲地で、台風銀座と言われるほど多くの台風が襲来してきました。
たびたび、暴風雨に見舞われていたため、強い雨や風に対する特徴的な造作が施された建物が多く残されています。
土佐漆喰や水切り瓦、軒の低い民家といった自然の猛威に備える建物群による町並みが形成されてきました。
1997(平成9)年に国の文化財として「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され保存されています。
まちなみ拠点施設
まちなみ館は、観光の拠点施設です。
水切り瓦
室戸地方は「雨は横から降る!」といわれる程、厳しい暴風が吹き荒れます。
台風から漆喰壁を守る為、何段にも造られた瓦の庇です。
土佐漆喰
道の向こうは太平洋です。
なまこ壁
壁面に平瓦を並べ、継ぎ目を漆喰で盛り上げて塗る工法で、盛り上がった形がナマコ(海鼠)に似ていることからなまこ壁といわれています。
格子のある家
武井家住宅
「いしぐろ」に囲まれた家
丸い石を利用した塀を「いしぐろ」といっているようです。
吉良川の町
吉良川の町は西ノ川と東ノ川にはさまれた場所にあります。
古来より木材や薪などの集積地であり、ここから京阪神地域に出荷されていました。
明治から昭和初期にかけて、備長炭がさかんに出荷されるようになると、大いに繁栄しました。
備長炭の繁栄と共に町が発展しています。
「かどや」
昭和初期に建てられた角田家住宅が、現在は和風の宿になっています。
御田八幡宮
おわりに
かつては人や物の往来が盛んで活況を呈していたことが、重厚な建物群からうかがい知ることができます。
しかし、今は、人通りがあまりなく静かでのんびりとした印象を受ける町です。
これだけ多くの伝統的な建物が保存されている町は、そうないと思うので、いつまでも大切に守って欲しいものです。
旧吉良川郵便局
大正時代に建てられた熊懐家住宅で、昭和中期まで郵便局として使用されていました。