はじめに
36番札所「青龍寺」から50km、足摺岬にある38番札所「金剛福寺」まで94kmの地点にあるのが、37番札所の岩本寺です。
歩きのお遍路さんにとっては、やっと札所のお寺にたどり着いたけれども、次の札所まで、まだ先は遠いと感じることでしょう。
町中の小ぢんまりとしたお寺ですが、随所にポップなカルチャーを垣間見ることができ、楽しませてもらいました。
境内まで
門柱から仁王門へ
何故かティクトック
仁王門の手前にカラフルなティクトック、乗って走ると楽しいでしょうね。
すでにポップ。
境内
境内案内図
お寺のすぐ側を、JR予土線が走っています。
お参りしている時に、ゴゴゴ~と列車が走っていくのが見えました。
仁王門
階段には"HAVE A GOOD TIME"等々、Englishでお出迎え。
門にもカラフル壁画、違和感なし!
本堂
四国霊場で唯一、不動明王、観音菩薩、阿弥陀如来、薬師如来、地蔵菩薩の五仏の御本尊です。
本堂は1978(昭和53)年に新築されました。
本堂天井画
本堂の天井には、全国から公募した本格的なものから素朴な市民の絵まで、575枚の天井絵が飾られています。
マリリン・モンローの妖艶な姿も描かれていました。
大師堂
大師堂はお寺で最も古い建物のようです。
縁の下には、2つの面妖な鬼?の彫り物がありました。


かつて大師堂には「矢負地蔵」が祀られていました。
昔々、信心深い猟師が、これ以上の殺生は無益と思って自分の胸を矢で射ましたが、お地蔵さまに矢が刺さっていて自分の身代わりとなって命を助けてくれたといわれています。
聖天堂
円形の堂では、夫婦円満・恋愛成就など様々なご利益があるとされる歓喜天を祀っています。
縁起
寺伝によると、8世紀中ごろに聖武天皇の勅命を受けた行基が開創したとされています。
現在地より北西約2kmほど離れたところで、「七福寺」ともよばれていました。
8世紀初め、空海は不動明王、観音菩薩、阿弥陀如来、薬師如来、地蔵菩薩を本尊として祀りました。
16世紀末の天正年間に兵火で焼失してしまいましたが、その後、寺領の寄進を受け、神仏習合の札所として隆盛を誇っていました。
明治の初め、神仏分離による廃仏毀釈の影響で岩本寺は荒廃してしまいます。
このため愛媛県八幡浜市の吉蔵寺が、岩本寺の本尊と納経版木を買い取り37番札所を名乗りました。
1889(明治22)年に復興してきた岩本寺は仏像と札所権を取り戻したことで、現在に至っています。
境内全景
空海の七不思議
岩本寺には、空海にちなんだ七不思議の話があります。
「三度栗」
1年に何度でも栗を食べたいという子供の願いを聞いた空海の霊力で3回も実が生る様になりました。
「筆草」
美しいお月さまを見て感嘆した空海が、思わず筆を月に向かって投げてしまいます。筆が落ちたところから、生えてきた草を持っていると寺がうまくなるといわれています。
「桜貝」
空海の心情を慰めるために、磯の貝が桜色になったといわれています。
「口無し蛭」
田植えの度に、村人の血を吸う蛭の口を、空海が封じたといわれています・
「尻無し貝」
空海が川を渡った時に、貝が足に刺さりました。人々がけがをしないようにと貝の尖った部分を取り去ったといわれています。
「子安桜」
桜の木の下で産気づいた妊婦のために空海が加持祈祷をすると無事に出産できました。
「戸たてずの庄屋」
盗難に遭った庄屋のために空海が盗難よけの祈願をしたところ、二度と盗人が入らなくなり、戸締りの必要がなくなったといわれています。
カラフル石畳
おわりに
岩本寺は、八十八カ所の中では珍しくポップでカラフルなお寺です。歴史のある伝統的な境内の中でいろんな色があちこちに見られ、それはそれでとても馴染んでいると思いました。
参拝に来るお遍路さんたちも、驚きながらも楽しんでいるようです。
また、さまざまな空海に関する伝説も残されており、弘法大師への信仰が篤い地域でもあると思いました。
花手水
お寺の手水鉢もお花でいっぱいです。