はじめに
酷道といわれる国道319号は、曲がりくねった1車線の山の中を通っている道です。愛媛県四国中央市新宮町の人里離れた険しい山の中腹に仙龍寺はあります。
その昔は、まさに秘境であり、たどり着くのも厳しい場所で、深山幽谷にある霊験あらたかな修行の場としてふさわしい所であったのではないでしょうか。
境内
本堂
仙人堂
インドの仙人で、6~7世紀頃に日本へと渡ってきたとされる法道仙人を祀っています。
別格20霊場「13番札所仙龍寺」
別格20霊場とは、弘法大師空海が四国霊場八十八カ所以外に、番外霊場として足跡を残している20ヶ寺が集まって創設されたものです。
八十八カ所に別格霊場を加えると百八になり「百八煩悩消滅のお大師様の道」として、1968(昭和43)年に別各霊場が開設されました。
仙龍寺は別格20霊場の13番目の札所として、人々の厚い信仰を集めています。
四国36不動尊霊場「26番札所仙龍寺」
四国36不動霊場は、四国にある不動明王霊場寺院の総称で、霊験ある不動明王が祀られていられる寺院36ケ所が開いたものです。
縁起
寺伝によれば、815年に空海(42歳)がこの山を訪れた時、ここに住んでいた法道仙人より当山を譲り受け、21日間の厄除と虫除五穀豊穣の護摩修行を行ったとされます。
修行が満願した日に、自らの姿を刻んで本尊としました。
以来、厄除大師・虫除大師といわれて信仰されてきました。
江戸時代、65番札所三角寺には大師堂が無く、仙龍寺の本堂が大師堂とみなされていました。
このため、三角寺に詣り奥の院である仙龍寺に寄ってから66番札所雲辺寺に向かっていたようです。
おわりに
山深い人里離れた山中の崖にへばり付くようにして建立されているお寺です。仏道の修行の場としてはうってつけの環境ですが、人を寄せ付けない厳しい場所でもあります。
歩き遍路で、65番札所三角寺~別格13番札所仙龍寺~66番札所雲辺寺を参拝するのは、厳しい山中を上がったり下がったりして、獣道のような遍路道を歩いて行かなければなりません。
昔のお遍路さんは命がけで歩いたことでしょう。
今は、車で参拝できますが、仙龍寺は昔の厳しさの一端を伺わせてくれるお寺でした。