はじめに
8番札所熊谷寺(くまだにじ)に参拝してきました。
3月初めの、桜の時期には少し早いころでしたが、鮮やかなピンク色の花が満開でした。
お寺に通じる入り口のところだけでなく、隣にある池の周り一帯に桜が咲き誇っています。
春を感じることができる札所でした。
蜂須賀桜
満開の桜は、蜂須賀桜と呼ばれているそうです。
江戸時代までこの桜は徳島城の御殿にあったので、藩主の蜂須賀氏に由来した名称がつけられたようです。
明治になって最後の徳島藩主が家臣の原田家に託しました。
京都の豊臣秀吉を祀る豊国神社など、徳島県の内外で植栽されているようです。
蜂須賀桜は開花時期が早く、2月下旬から楽しむことが出来ます。
熊谷寺も名所のひとつで、ちょうど満開の時期に訪れることができました。
境内
仁王門、天女絵、中門、本堂、大師堂、鎮守神、板碑
仁王門
江戸時代の1687年に建立されました。
高さ12mあまりで、四国八十八ヶ所では最大、最も古いものです。
和様と唐様の折衷様式で徳島県の指定文化財です。
門の前にあるモクレンの花が咲き誇っていて、きれいでした。
天女絵
仁王門の2層天井には極彩色の美しい天女絵があるそうです。
残念ながら一般公開はされていませんが、納経所の外に7分の1サイズのものが陶板で再現されていました。
中門
本堂へ向かう途中に、中門(二天門)があります。
二天門も江戸時代の1649年に作られていて、持国天と多聞天が祀られています。
本堂
大師堂
鎮守神(石祠)
空海が熊野権現の託宣を受けたことから、熊谷寺が創始されたとされています。
その由縁を示す石祠のようです。
熊谷寺板碑
何と今から700年も前の、1339(暦応2)年に亡き父母の供養のために子どもが建てたものです。
暦応は南北朝時代の北朝の年号で、この地方では北朝方が勢力を持っていたようです。
昔の人の親孝行が分かる遺物が残っていました。
縁起
寺伝によれば、9世紀はじめに空海がこの地で修行をしていると、熊野権現が現れて衆生救済のためにと1寸8分 (約5,5cm) の小さな観音像を授けられました。
空海は千手観世音菩薩を刻み、胎内にその観音像を収めて本尊としたといわれています。
江戸時代には徳島の藩主蜂須賀家の保護を受けて繁栄しました。
1927(昭和2)年、火災によって本堂とともに空海作と伝えられていた本尊も焼失してしまいました。
本堂は1971(昭和46)年に再建されています。
おわりに
蜂須賀桜の開花を待ちわびたように、たくさんの人が参拝に訪れていました。
歴史のある重厚なたたずまいのお寺を堪能するだけでなく、きれいなピンク色の華やかな桜を見ることができ、その桜を大切に守り育てている地元の人々の温かい思いを感じることができました。
お花見とお遍路の参拝で、のどかな春の一日を過ごしました。