水琴窟を父が3個作っていました
父が庭に水琴窟を作っていました。それも3か所に!
私は何の関心もなく、作っている時は何でそんなものを…と思っていました。ただ、そこにあるということを知っているのみでした。
片付けをしていると甕が出てきて、どうも父が水琴窟を作った時に余分に買っておいた甕らしいということでした。
4個目の水琴窟を作るつもりであったのかもしれません。
水琴窟というのは江戸初期の小堀遠州が始まりとされ、洞水門と呼ばれていたようです。
亀の底に小さい穴を開けて土の中にひっくり返して埋め込みます。
中は空洞にしておいて、上から水が落ちると甕の中でポトンという水滴の音が反響する仕組みです。
江戸時代から明治時代にかけて庭園の設備として作られていましたが、次第に廃れていきました。
それが1980年代ごろより再び広く知られるようになったということです。
もともと庭に興味があった父も、水琴窟が知られるようになってくると、自分も作ってみたいと思うようになったのでしょう。
改めて父の作った水琴窟をまじまじと見てみると、手水鉢の近くに丸い石が敷き詰められ、そこから水が落ちるようになっています。
水が落ちると音がするような仕掛けになっているので、早速、水を落として音を聞いてみました。
耳を澄ませないと聞こえないぐらいの音なのですが、カランというか、コロンというか、ポトンというか、何とも表現のしようのない水滴の落ちる音が乾いた音となって響いていました。
今となってはこの水琴窟のウンチクを父に聞くことも出来ないのですが、父が作り出して聞いていた音なので何とも言えない思いがこみ上げてきます。
いわゆる父の形見の音ということです。
父が作った水琴窟の音を録音
父が作った水琴窟の音を何とか録音したいと思って、まず掃除から始めました。
水琴窟というのは大きな甕の底に小さな穴を開けておき、その甕を逆さにして土の中に埋め込んだものです。
写真の中に、小さな丸い石がたくさんありますが、その下に埋め込まれています。
奥にある手水鉢の水があふれて下の水琴窟に落ちると音が鳴る仕組みです。
水がいっぺんに水琴窟に流れてしまうと、音が連続してしまって風情のあるポトン・・・ポトンという音になりません。
そのためホームセンターで、魚を飼育するときに使う細いチューブを買ってきて、水の量を調節しました。
バケツに水を溜めてサイホンの原理で、チューブを通して手水鉢の中に少しずつ水を送り込むことにしました。
送り込む水の量が多すぎても少なすぎても、ポトン・・・ポトンという水琴窟の独特の音の間隔が出ません。
クリップでチューブを挟んで調節をしました。何とかうまく水量を加減することが出来たと思います。
音を拾うために、水琴窟の上に棒を渡して、その棒に録音機をぶら下げました。
3時間ほど録音したのですが、後で聞いてみるとポトンという音の間隔が早すぎたり長すぎたりしています。
手水鉢に流れ込む水量をうまく調整できていなかったようでした。
おまけに鳥とか風といった、様々な音が入っていて、雑音にしか聴こえないものが録音されています。
後で編集して、何とか雑音を取り除いていきました。
完成しました
悪戦苦闘しながら、編集してユーチュ-ブにアップすることができました。亡き父の残した音を形に出来て、さまざまなことを思い出しながら感慨もひとしおです。