はじめに
24番札所最御崎寺(ほつみさきじ)は、高知県で最初の札所です。
雄大な太平洋を眺めることのできる室戸岬の先端にあります。
切り立った岬の山の上に、静かに佇んでいる札所でした。
車で通行ができない時代には、険しい山道を上って行かなければならず、お遍路さんにとっても厳しい修行の場所だったのではないでしょうか。
最御崎(ほつみさき)には、海に向かって聖なる火を焚く古くからの信仰として「火つ岬(ほつみさき)」という意味があるようです。
室戸には、室戸三山といわれる3カ寺の札所があります。
西にある第26番札所の金剛頂寺(こんごうちょうじ)が西寺と呼ばれているのに対し、最御崎寺は東寺(ひがしでら)と呼ばれます。
西寺と東寺の真ん中には、津照寺(しんしょうじ)があります。
空海修行の地であるゆかりと信仰から、多くの札所が存在しているのではないでしょうか。
境内
案内図
参道
駐車場ではお迎え大師像が出迎えてくれます。
境内へは石段を上がるのではなく、坂道を進んで山門へと向かうのが順路となっています。
お迎え大師の隣から階段を上がるとお寺の裏手になってしまうので、坂道を歩くように、と看板に書いてありました。
山門
パーキングからだらだら坂を上って行った所に山門があります。
表と裏にそれぞれ仁王様が合わせて4体います。


十一面観音菩薩
鐘楼堂
1648年、土佐藩2代目藩主山内忠義の寄進により建立されました。
本堂
本尊は秘仏とされている虚空蔵菩薩さまです。
虚空蔵菩薩の石像
本堂の御本尊は秘仏ですが、鐘楼堂の隣に大きな虚空蔵菩薩の石像があります。
一畑薬師
「目のお薬師さん」で知られる島根県の一畑(いちばた)薬師を勧請したものです。
鐘石
斑レイ岩で、叩くと鐘のように響き、冥土にまで届くと言われています。
クワズイモ
通りがかったお遍路さん(空海)が、地元民に芋を乞うたところ「これは食えない芋だ」といって貰えなかったため、ほんとうに食べられなくなったと伝えられています。
現在は胃腸の薬として利用されています。
境内に植えられていました。
一言お願い地藏
子地蔵さんがたくさんあって、多くの方が祈願しています。
ヤッコソウ
ヤッコソウは、植物学者の牧野富太郎が高知県で発見して命名しました。葉緑体を持たない寄生植物だそうで、県の天然記念物になっています。
護摩堂と聖天堂
本堂の裏手に並んで建立されています。
縁起
空海が、唐から帰朝した翌年の807年に嵯峨天皇の勅願によって虚空蔵菩薩を彫り、本尊として開創されたといわれています。
足利尊氏によって1341年に土佐の安国寺になりましたが、焼失してしまいます。
江戸時代の初めに土佐藩山内氏による支援で再興されました。
明治初期の神仏分離によって荒廃してしまいますが、1914(大正3)年に再建されています。
女人禁制の場所でしたが、1872(明治5)年には解禁されました。
おわりに
海岸辺は太平洋の荒波が押し寄せる荒々しい、まさに空海が厳しい修行をした場所という雰囲気でした。
しかし、山上にある森の中の札所は静かで落ち着いた感じのお寺です。
室戸の自然の厳しさと信仰の歴史を知ることが出来る最御崎寺でした。